第一章 〜遠い空の下で〜
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叔母の元を離れてから一週間が過ぎた。
今、私が暮らしているのは
「ミドリ先生、おはよう!」
「おはよう先生!」
「皆、おはよう!」
可愛い子どもたち。
学校へ通えず、養護施設で暮らしているこの子達に
勉強を教えるのが私の仕事。
「先生、綺麗な首飾りしてる!」
「これね、大切な人にもらったの。」
「いいな〜!」
「可愛いね〜!」
「ふふ。ありがとう。」
大海賊時代といわれる昨今
海賊達の出入りが珍しくもないこの島の治安は
やはり、あまり良いとは言えない。
そのせいか、様々な事情を抱えた子どもたちが
ここにはたくさんいる。
中には海賊のせいで親を亡くした子も。
少しでも、この子達の役に立ちたい。
この子達を支えてあげたい。
チャンが私にそうしてくれたように。
チャンからの援助のおかげで
学校に通うことができた私は、勉強が好きになり
こうして教師になった。
家を出たかった理由は
独り立ちしたかったというのがひとつと
一番はこの施設の近くに住みたかったから。
そして叔母の住む町よりも栄えたこの港町で
もっと仕事をして、お金を稼ぎたかったから。
たくさんお金を稼いで
お世話になった叔母さんとチャンに
少しずつでも恩返しをしていきたい。
そしてゆくゆくは、私もチャンのように
海へ出て世界中を旅してみたい。
チャンと手紙のやりとりをしているうちに
いつしかそう考えるようになっていた。
「よし、仕事探すぞ!」
夕方。
養護施設での仕事を終え
夜にも働ける場所がないかと
街一番の大通りを歩いた。
昼間の賑わう商店街とは雰囲気が変わり
チラホラと夜の店の電気が灯りはじめる。
良さそうな店はすぐに見つかった。
『新装開店 スタッフ募集』
表にそう貼り紙のある
まだオープン前の新しい酒場。
条件もぴったりだったので
私はすぐに店に飛び込んだ。
「すみません!表の貼り紙見たんですけど…」
中に入ると、ヒゲを生やした大柄な男の人が
嬉しそうに出迎えてくれた。
ここの店長のようだ。
「お!働いてくれるか!べっぴんじゃねぇか!よし、採用!!」
一目見ただけでそう言われ、呆気に取られるも
人の良さが滲み出る笑顔に釣られて私も顔が緩む。
こうして、私の2つ目の仕事が見つかった。