第六章 〜真実を知るとき〜
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「おれが?何言ってる。急にどうした。」
眉間に皺を寄せ
シャンクスは不思議そうな顔をした。
「……ごめんなさい。なんでもない。」
やっぱり私、どうかしてるのかな。
チャンとシャンクスを重ねるなんて。
「おれが人に金を送るような善人に見えるか?」
「そうだね。見えない。」
「うるせェっ!」
頭をコツッと叩かれて笑い合う。
この人とのこんなやりとりは、やっぱり心地いい。
おかしいけど、私少し期待してる。
シャンクスがチャンだったらいいのにって
こっそり思ってる。
でも本当にそうだとしたら
私はずっと嘘を吐かれていたことになる。
そんな現実、耐えられるだろうか。
チャンが正体を明かさないのなら
シャンクスが違うと言うのなら
これ以上、詮索するべきじゃないだろう。
知るのが怖い。
でも、本当のことを知りたい。
「……まだ変なこと考えてるな。」
黙り込む私を前に
シャンクスはため息をひとつ吐いた。
「シャンクスは……どうして、ここへ来たの?」
「だから言ったろ?拾ったエターナルポースをたどって来たんだ。」
「そのエターナルポースって……」
「ミドリお前、元気になったならそろそろ帰れ。送ってく。」
「あの…その前に顔洗いたい。たくさん泣いちゃったし。洗面所借りていい?」
「……あァ。そこの廊下に出て、すぐ右だ。」
シャンクスが指さしたドアを開けると
廊下に出た。
洗面所はすぐに見つかった。
けど、そこには入らず
その先のいくつかのドアを開けていく。
悪いことをしているようで、緊張した。
胸の中は罪悪感でいっぱいだった。
シャンクス、ごめんなさい。
私はどうしても、真実が知りたい。
あなたがチャンでないことがわかれば
気持ちよく、あなたを送り出せるから。
こんな悪いことは二度としないから。
どうか許して。
廊下の先に、一際大きな扉があった。
その前で立ち止まって、息を呑む。
なんとなく、ここが船長室だとピンときたから。
ドアノブに手をかけ
ギュッと目を瞑り、そっと扉を開く。
鍵のかかっていない扉は、簡単に開いた。
少しずつ、ゆっくりと目を開ける。
そこまで広くない部屋に、小さな窓がひとつ。
最初に目に入ったベッドの横には
たくさんの本が並んでいた。
中に歩みを進めながら
視線を左へとずらしていく。
部屋の真ん中の棚には
エターナルポースがずらりと並んでいる。
その中に、チャンに送ったそれを探したけど
首から下げるタイプのものはひとつもなく
安堵のため息が出て、体から力が抜けた。
その時だった。
——バサバサッ
羽の音に体がビクッとして
恐る恐る音のした方を見る。
瞬間、体が固まった。
鳥籠の中に、鳩がいた。
同時に目に映ったのは
年季の入った木製の机の上に置かれた
あのエターナルポース。