第六章 〜真実を知るとき〜
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奇跡かと思った。
夢かとも思った。
これまでにないほどに全力で走って
そこに在って欲しいと願った彼らの船は
変わりなく港に在って
それが目に入った瞬間、また涙が溢れてきた。
「どうした。」
船の前に着くと
焦って走ってくる私に気付いてくれたのか
シャンクスは船から降りてきてくれていた。
「シャンクスっ……」
余計に涙が溢れて
目の前の顔がはっきりと見えない。
膝に手をついて、息を整える。
「あのっ…泥棒が……家にっ……」
「大丈夫だ。落ち着け。」
ポンと肩に置かれたシャンクスの手を思わず掴む。
「ドアが壊されててっ…お金、全部盗られてっ……」
「怪我はないのか?」
心配そうに顔を覗き込むシャンクスに
首を横に振ると安心したように笑った。
その笑顔に心の底から安心して
安心したらまた、涙が次々と溢れてくる。
「パニックになって…どうしたらいいのかわからなくて……チャンに、助けてって手紙書いたけどっ……来られるわけないの、わかってるんだけど、心細くてっ……」
「………」
「でも、シャンクスはまだいるかもって思って、気付いたら走ってた……」
涙を拭って、彼の顔を見上げる。
「まだいてくれてよかった。」
言った途端、視界が真っ暗になった。
ふわりと全身を包まれる。
力強い腕が背中に回されて
ギュッと抱き締められていた。
「シャンクス?」
「もう、大丈夫だ。」
その温もりに安心して
私もおそるおそる、背中に手を回した。
「……盗られたお金、チャンから送られてきたもので…大事にとっておいたのに。いつか会えたら、見せようと思ってたの。このお金には手をつけなかったよ、って。だから、私はもう大丈夫だよって。そう言いたかったの……」
シャンクスの大きな胸に顔を押し付けた。
二度と、顔も見られない人だと思っていたのに
こんなふうに会うことができた。
これが、最後。今だけ。
そう、自分に言い聞かせて。
「……金なんか、どうだっていい。」
顔を離して見上げると
シャンクスは優しく微笑む。
「お前が無事なら、それでいいんだ。」
私を安心させようと
そう言ってくれたことはわかる。
けど、シャンクスのその言い方に
少しの違和感を覚えて
「……怖い思いしたな。」
次にシャンクスがそう呟いた途端
頭の中で、走馬灯のように何かが蘇る。
——怖い思いしたな。
耳元で低く響く声。
——悪いな。お前の母さんは助けられなかった。
優しく抱き寄せてくれる腕。
——だが、おれがついてる。安心しろ。
大きな大きな、その温もり。
私、この感覚知ってる。
忘れていた、遠い日の記憶?
幼い頃、私はこんなふうに
男の人に抱き締められた。
今でも時々、夢に見るその相手は
ずっとチャンだと思ってたけど……
シャンクス……
まさか、あなたが……