第六章 〜真実を知るとき〜
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「世話になったな、店長。」
「仕方ないが、何もこんなにいきなり出ていくことないんじゃないのか?急ぐ旅でもないんだろう。」
「いきなりじゃない。早めに出ようと、ずっと思ってた。」
「ミドリには会わないつもりか?寂しがるぞ。」
「昨日別れは伝えた。なんてことない。」
「そうか。まぁ、気をつけていけ!」
「ありがとう。店長も、元気でなァ!」
ーーーーーーー
養護施設での仕事を終えた午後。
今日は酒場は休み。
いつもなら迷いなく、真っ直ぐに
家に帰るところだけど、私は少し迷っていた。
彼らは…シャンクスは
もう出てしまっただろうか。
空を見上げる。
太陽が眩しく、悔しいくらいにいい天気。
ほどよく風もある。
船出日和だ。
ため息をひとつ吐いて、帰路へと着いた。
午後3時。
きっともう船は出てしまってる。
もし、まだ間に合ったとしても
今さらどんな顔をしてシャンクスに
会えばいいのかわからない。
本当なら、たくさんの感謝を伝えたかったけれど
それ以上にきっと涙がこらえられなくて
困らせてしまうだけだ。
私が初めて、恋をした人。
チャンのように、それ以上に特別に思えた人。
二度と会えなくても
好きにならなければよかった、とは思わない。
短い時間だったけど
だからこそ特別で、尊くて、とても楽しかった。
さよなら、シャンクス。
港へと吹く風に向けて、心の中でそう告げた。
「チャンに手紙書こ。」
清々しい気持ちで、アパートへと帰ってきた。
もう大丈夫。
彼らが現れる前の
今まで通りの私の日常に戻っただけた。
と、鞄から出した鍵を
鍵穴に挿そうとした時だった。
「えっ……何これ……」
私の部屋のドアノブが
ズタズタに壊されている。