第五章 〜さよならの前に〜
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第五章 〜さよならの前に〜
『ミドリ。変わらず元気そうだな。
そうか、海賊の友達ができたか。
ミドリが大丈夫と思うなら
きっとそいつらは問題ないだろうが
海賊の中には根っからの悪もいる。
十分気をつけろ。
ミドリにもしものことがあったらと思うと
おれは気が気じゃない。
お前は会いたいと言ってくれているのに
そばにいてやれなくてごめんな。』
今回のチャンからの返事は
どこか申し訳なさが伝わってくるような
終わり方だった。
たしかに会いたいとは思ってるけど
彼にも事情があるのもわかってる。
謝ることなんてないのに。
酒場での開店準備中、何て返事を書こうかと
考えながら食器を片付けているときだった。
「ミドリ!戻ったぞ!」
「店長!おかえりなさい!」
裏口の扉が開き、買い出しへと行っていた店長が
帰ってきたので出迎えに行くと
「よォ。」
その後ろにはシャンクスの姿。
「シャンクス、どうして…?」
「船を追い出されたんだと。」
私の問いに
本人ではなく店長が笑いながら答えた。
「ベックと喧嘩してよ、しばらく戻るなって言うから家出してやったんだ。」
拗ねた子どものように口を尖らせながら
そう言う彼に、私も思わず笑ってしまう。
「もう3日も野宿してるって言うからよ、連れてきてやったんだよ。」
「まさかここに?」
「あァ、世話んなるぜ。」
お人好しの店長のことだ、その話を聞いて
きっと放っておけなかったのだろう。
前に手伝ってくれたこともあるからか
シャンクスは慣れたようにマントを壁にかけると
店長が買い出ししてきた食材を厨房へと運ぶ。
「副船長さんに謝ればいいんじゃ……」
「適当に帰るから気にするな。」
「まぁ、店長がいいなら…」
私は少し呆気にとられながらも
同じように食材を手に彼の後を追った。
こうして、少しおかしな話ではあるが
シャンクスがこの店に寝泊まりするようになった。