第四章 〜近くて遠い〜
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その日の午後。
養護施設での仕事を早めに終えて帰路に着く。
今日は酒場の仕事は休みの日なので
家でご飯を作ってゆっくりすることにした。
何にしようかな。
まず買い出しに行かないと。
そんなことを考えながら歩いているときだった。
「大人しくしろ。」
「!!」
後ろから急に声をかけられたかと思うと
回された腕に強い力で肩を掴まれて
身動きが取れなくなる。
何が起こったのかわからず
頭の中はパニックになり声も出せない。
右耳のそばではカチャという音がして
視線を向ければ
黒く光る拳銃が目の前にあった。
歯向かえば殺される。
回らない頭でもそれだけはわかった。
「抵抗するな。ついてこい。」
この時間のこの道は
もともと人通りが少なくはあったけど
こんな時に限って周りに誰も人はいなくて
肩を引かれるままに歩みを進めた。
どこに連れて行かれるのかはわからない。
恐怖で手足がガクガクと震えた。
どうにか逃げられないかと考えたけど
そのまま暗い裏路地に入ってしまった上
どこからともなく次々と現れる
この男の仲間らしき大男たちに周りを囲まれて
淡い希望は崩れ去った。
「なかなか上玉だな、キャプテン。」
「あァ、これであの男を誘き寄せる。」
私を捉えている男がキャプテンと呼ばれて
彼らが海賊であることがわかった。
向かっているのも港の方向だ。
どうしてこの島に彼ら以外の海賊が?
赤髪のシャンクスを恐れて上陸しないから
最近はめっきり見かけなかったのに。
そうだ。彼らがいる。
もし皆がそう呼ぶとおり、最強の用心棒なら
こんな時、助けにきてくれるものなんだろうな。
助けに来てくれたら、格好良すぎて
恋に落ちてしまうかも。
船長さんたちの存在を思い出した途端
そんな冗談を考えられるほどには
精神が落ち着いた。