第三章 〜最強の用心棒〜
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チャンに返事を書くのは
仕事が終わってからにしよう。
私は家を出て仕事場である養護施設へ向かった。
「よう!ミドリ!」
「あ!おはようございます。」
「この間はごちそうさん!」
「また行くなァ!」
「うん!待ってます!」
町中で挨拶を交わしたのは
あの赤髪海賊団クルーの人たち。
彼らがこの町の港へ上陸してから
もうすぐ1ヶ月が経とうとしている。
あれから何度かお店に足を運んでくれて
気付けば顔馴染みとなっていた。
彼らが出歩く姿も日常的に見られるようになり
すっかり町の風景に馴染んでいる。
1週間でログが貯まるこの島。
こんなに長く海賊たちが居座ることは
極めて珍しいことだったが
町民には絶対に手を出さない彼らに
町の者たちは、あえて近付くことはしないものの
ある程度の信頼を寄せていた。
そして、わかったことがある。
赤髪海賊団がいることで
他の海賊の姿を見なくなった。
漁師さんによると
港に彼らの海賊旗があるだけで
上陸を諦める海賊船がいくつもあったようだ。
彼らによって守られている
そう言っても過言ではないほど
町の治安が良くなってきたのは事実。
それを感じた町民たちは、誰ひとり
海軍に連絡をしようともしない。
平和で、穏やかな毎日が続いている。
「ミドリ先生の言う通りだったね!」
ひとりの子どもが嬉しそうに話しかけてきた。
「ん?何が?」
「カッコいい海賊もいるって言ってたでしょ?」
「赤髪海賊団は皆に優しいし、他の海賊から町のみんなを守ってる。最強の用心棒だって、みんな言ってるよ!」
「最強の用心棒か……」
確かに、そうかもしれない。
大頭の赤髪のシャンクス。
あれから彼も何度か、お店に来ることがあった。
最初は彼を疑っていた私。
少しずつ彼を知っていくうちに
大物の海賊ではあっても
根っからの悪い人でないことがわかってきた。
心から信用してもいいかも…と
思い始めている自分がいる。
そして彼らがこの町の用心棒になってくれたら
確かに最強だし、心強いことだろうとも思う。
海賊という悪党に守られているなんて
人によっては滑稽だと首を傾げるかもしれない。
でも、町の人たちが安全なら
間違いではないと思う。
チャンなら…
世界中を見て旅をしている彼なら
どう思うだろう。
後で手紙に書いてみよう。