第三章 〜最強の用心棒〜
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第三章 〜最強の用心棒〜
——コツコツ
朝起きて、朝食を食べていると
窓をつつく音が聞こえた。
「おはよう。いつもありがとね。」
窓を開け、鳩から封筒を受け取る。
この重み…
「また…」
封を切ると、いつものように札束が現れた。
どうやらチャンはお金を送ることを
やめる気はないようだ。
私が叔母さんの元を離れてから送られてきた
彼からのお金には一切手をつけていない。
ひとりでやれているのに
なんだか信用されていないようで
まだ子ども扱いされているような…
小さなため息を漏らしながら
同封されていた手紙を開く。
『ミドリ。
金をいらないと言われたら
おれが鳩を飛ばす意味がなくなってしまう。
自分のために金を使えと言うのなら
おれは迷いなくお前に送るよ。
必要ないなら処分すればいい。
ミドリの島は春島だったな。
おれは今海の上だ。
次に着くのはどんな島かわからないが
そこも気持ちいい気候だとありがたいな。』
「そっか……」
——鳩を飛ばす意味がなくなってしまう
その言葉で理解した。
チャンの目的は私との文通じゃない。
最初からそうしていたように
ただお金を送ることだけ。
私にとっては、手紙だけで嬉しいものだけど
チャンにとっては
お金を送ることをやめてしまったら
もう私との繋がりは何もなくなってしまうんだ。
どうしてここまで私を大事にしてくれるのかは
未だにわからないけど
彼の好意をこれ以上、拒否するわけにはいかない。
いつもの場所、机の引き出しの奥へ
届いたお金をそっとしまった。
そこには前にもらったお金も
封筒のまましまってある。
いつか、チャンに会うことができるまで
このお金は使わない。
そしていつか彼に会えたら
彼のために使いたい。
あなたの力を借りなくても
私はひとりでやってこられたんだって
もう心配しないでって、そう言おう。
どれだけ私があなたに救われてきたか
どれだけ私があなたに感謝しているか
少しでもあの人に伝わりますように。