アネモネの恋 〜あなたを信じて待つ〜/ロシナンテ
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とても不安定な恋だった。
会いに来るのはいつもあなたからで。
私を抱くと、朝にはいなくなっていた。
平気なフリをしていても
本音は、ずっとそばにいてほしい。
ロシーと出会って私は
永遠なんてないことを知った。
誰かが言っていた。
永遠を望むから、人は不幸になる。
あなたに愛されて、私はその言葉の意味を知った。
それでも、2人でいるときはいつも
確かな愛を感じていたんだ。
アネモネの恋 〜あなたを信じて待つ〜
〜side ロシナンテ〜
花に囲まれているミドリを
いつも遠くから見ていた。
どんな花よりも、おれには君が一番美しかった。
花を買うのを口実に
会いに行くだけで心は満たされていた。
「また花を買ってきたのか。まァお前の自由だが、海賊船にこんなもん必要ねェ。」
大嫌いな兄にそんな小言を言われても平気だった。
次第に会いに行くだけじゃ物足りなくなった。
最初はおれのことを不審がっていた君が
少しずつ心を開き、嬉しそうに笑いかけて
くれるようになったから。
「赤いアネモネの花言葉は『君を愛す』」
ミドリからそれを聞いた時
絶対に君にこの花を贈りたいと思った。
花束を渡した途端、おれの気持ちに気付いた君は
困ったように固まった。
やってしまった。
この気持ちを知ってもらいたいなんて
少し欲を出しすぎたか。
居ても立っても居られなくなり、その場を離れる。
が、こういう時に限って、おれはよく転ぶ。
「私も、あなたが好きです。」
真っ直ぐにおれの目を見て告げられた言葉に
胸が高鳴った。
本当は
踏み込むつもりはなかった。
花屋の店員と客という関係のままで。
喋れないコラソンのままでいるつもりだった。
幸か不幸か
予想外の君の行動が、おれを狂わせた。
目の前のミドリが
欲しくてたまらなくなっちまった。
うまく愛せるかわからない。
泣かせるかもしれない。
ひどく傷付けるかもしれない。
でももう、後戻りはできない。
救いようのない人生を送ってきた。
そんなおれにとって、君は
渇ききった荒野のような毎日に咲いた
一輪の花のような人だった。
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