この男、恋愛下手につき/ドレーク
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ドレーク、もう一回。」
何が起こったのかわからないくらい一瞬で終わってしまったし、目を閉じ忘れたし、次はいつしてくれるかわからないし。
私は彼の長い両足の間に向かい合うように膝をついて座り、顔を近付ける。
「限界だと言っただろう。勘弁してくれ。」
ドレークは真っ赤になった顔を隠すように額に手を当て、私の視線から隠れる。
でも、次はいつ彼の気が向いてくれるかわからない私は、もう必死で。
その手を外して、今度は私から口づけをした。
今度はちゃんと目を閉じて、彼の手を握ったまま、空いた手はドレークの肩に置いて
先ほどのそれよりは少し長めに触れ合った。
唇が離れても、顔と顔はまだ近くて
ドレークの熱のこもった瞳から、視線を外せない。
髪を撫でるように、頭の後ろに手が回されて
私はもう一度目を閉じた。
3度目のキスは、少し乱暴だった。
チュと啄む音が鳴り、何度も角度を変え、時々ぬるりとした感触もあった。
「ん…ふ……」
開かされた唇からつい声が漏れてしまう。
それをきっかけにドレークの手は腰に回されて、強く抱き寄せられる。
私もその太い首に腕を回して体が密着した。
唇が腫れるんじゃないかと思うほど
息も絶え絶えに、2人して夢中になった。
外であることも忘れて、数えきれないほどの口付けを交わした。
頬に、おでこに、鼻先に、そしてまた唇にと、ドレークはこれまで我慢した分とでも言うように、たくさんのキスを落としてくれた。
「ミドリ、愛している。」
だんだんと荒々しくなる吐息混じりに、そんなことを囁いてくるから、私は頭が真っ白になって何も考えられなくなる。
ドレークの立てた前髪が頬をくすぐって
彼の唇が胸元にまで降りてきていることに気付いた。
「あ……」
ぬるりと彼の舌が鎖骨の辺りをなぞって
自分のそれではないような、少し高い声が漏れた。
身体の中心が熱くなってくる。
いつもは冷静沈着なドレークが、その理性を失い、私に夢中になってくれていることが嬉しくて
愛しくて、愛しくて
そっとその顔を抱き寄せる。
「っ…いたっ……」
首筋にチクっと痛みを感じて、つい顔を歪ませると、ドレークは焦ったように私から離れ
「す、すまない!赤くなってしまった。」
痛みを感じた場所を優しく指で撫でてくれた。
自分では見えないけど、彼が残してくれた証に私は嬉しくなる。
しかし残念なことに、このことでドレークの理性が戻ってしまった。
「悪かった。誰もいなかったから良かったものの…こんな場所でおれは……」
私の髪に指を通し、焦って乱れを直しながら、今しがた自分のしていたことを思い返しているのか、茹で蛸のように真っ赤になった。
「止められなかった……」
理性を保てずに情けない…と呟きながら自分の頭を掻く姿が愛おしい。
付き合い始めて1年もかかってしまったけど
ここまで進むことができた。
嬉しい反面、もっと続けて欲しかったと内心思っていて
「もっと触っていいんだよ?」
ドレークのせいで気持ちが大胆になってしまった私は、彼の手を取って自分の胸に押し付ける。
「なっ…ミドリっ、だ、だめだっ…」
瞬間、カクンっとドレークの体から力が抜け
その場に倒れてしまった。
「ごめんなさい。調子に乗りました。」
ドレークが元に戻る頃、すっかり陽は暮れていて
夜の海岸を2人歩きながら船へと戻った。
恋愛下手なこの男とひとつになるのは
まだまだ先のことになりそうだ。
でも、船に着くまでずっと繋がれた手の温もりに
私は幸せを感じていた。
…fin