この男、恋愛下手につき/ドレーク
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甲板に出ると、悔しいくらいにいい天気。
ドレークが追いかけてくる気配は全くなく
余計に腹が立って、そのままクルーの誰にも言わずに島へ降りた。
島の中心へ行けば大きな街が広がっている。
いちいち目に付くのは、仲良さそうに腕を組んで歩く恋人達。
自分たち以外目に入っていないかのように笑い合って、幸せそうなオーラに包まれている。
私もあんな風にドレークと街を歩きたかった。
思えば、ドレークに向かって怒りをぶつけたのは初めてだ。
食事にも誘いそびれてしまった。
彼が奥手な男だとわかってて告白したのに、キスしてくれないくらいで怒って、『浮気してやる』なんて心にもない言葉を浴びせて、子どものように逃げ出すなんて我ながら情けない。
こんな自分、ドレークに愛想尽かされてしまうかもしれない。
別に浮気されてもいい…とか思われているかも。
自暴自棄になりながら街を歩き続けていると
ほどなくして反対側の海が見えてきた。
船を停泊している海岸とは違って、こちらは砂浜になっているので、サンダルを脱ぎ、裸足になって砂を踏み締め、波打ち際を歩く。
優しく足を撫でる波が、心を癒してくれる気がした。
やっぱり海は好き。気持ちが落ち着く。
戻ったら、ちゃんと謝ろう。
だから今は少しだけ、この波に癒されていたい。
ーーーーーーー
散歩したり、波と遊んだり、貝を拾ったり、座ってただ海を眺めたり。
そうしているうちに時間は経ち、気付けば空が赤く染まりつつあった。
「ミドリ!」
名前を呼ばれて振り返ると、ドレークの姿。
「島に降りる時は言ってくれ。クルーの誰に聞いても知らないと言うし、心配しただろう。」
「……ごめんなさい。」
真っ直ぐに向き直って、素直に頭を下げた。
海に癒されたおかげで、ドレークに対しての怒りはすっかり消えていた。
何より、肩で息をして汗をかいている彼の様子から
必死に探し回ってくれたことがわかるから、それがとても嬉しかったんだ。
「無事でよかった。」
彼も安心したようで、夕陽に照らされるその優しい笑顔に、なんだか涙が出そうだ。
——もうドレークなんかいい!
何もしてくれないなら浮気してやるから!!
こんなに素敵な人なのに、なぜあんな言葉を浴びせてしまったんだろう。
「私、わがままだった。嫌いにならないで。」
後悔の念が押し寄せて、ドレークの上着の裾をキュっと掴みながら、懇願するようにそう言うと、彼は子どもをあやすように私の頭を撫でてくれる。
「嫌いになんてなるわけないだろう。ミドリこそ…あんなこと、もう二度と言ってくれるな。お前が船にいないと気付いたとき、まさか本当に他の男と…と考えたら、気がどうにかなりそうだった。」
「ごめんなさい。あんなの本心じゃない。」
「……そんなにしたいのか?その…キ…キ……」
「キス?」
返事の代わりにドレークの顔が真っ赤になる。