最終章 〜奏でる〜
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ひどい嵐の日だった。
通信が入って
居ても立っても居られなくて
仕事を放り出して、港へ向かった。
荒れた海の向こうから
小さく現れた一隻の軍艦が少しずつ大きくなる。
近付いてくる。
胸の前でギュッと両手を握って、祈っていた。
無事でありますように。
「うおー!!」
「戻ったぞー!!」
「出迎えはこれだけか!?少ねェな!!」
積荷を抱え、次々と降りてくる01部隊の兵士さん。
その中に姿を探した。
一際大きな体、すぐに見つかるはず。
大雨で体が濡れるのなんてお構いなしに
目を凝らして探す。
と、まずたしぎさんが走り寄ってきた。
「ミドリ!!」
「!!」
ギュッと抱き締め会う。
無事だった。よかった。
スモーカーさんは?
私の心を読んだように、たしぎさんが肩を掴んで
必死に何かを伝えようとした。
「スモーカーさんがっ!!」
その表情から、絶望を感じる。
最悪の結末が一瞬で頭の中を巡った。
嘘。嘘だ。そんなはずない。
あの人がやられるわけ……
目の前が真っ暗になりかけた瞬間
たしぎさんの後ろから、2人の兵士に支えられたスモーカーさんが船を降りてきた。
「ミドリ。」
生きてた。
身体中に包帯を巻いて、立っているのも辛そうなその状態から、重傷の傷を負っていることはわかったけど
生きていてくれた。
「びしょ濡れじゃねェか。中入れ。」
自分はそんなにボロボロなのに
私の心配なんかして。
全身の力が抜けて、その場に座り込みそうになったところを
たしぎさんが支えてくれた。
「大怪我しました、って言おうとしたの。」
そしてイタズラに笑う。
反対に私は、安心したせいか
ボロボロと涙が込み上げてきた。
2人の姿を見て、訳の分からない涙が止まらない。
「部屋に行きましょう。ミドリも着替えたほうがいい。」
たしぎさんがもう一度、抱き締めてくれた。