第六章 〜告げる〜
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『もっとずっと前からスモーカーさんがすき』
感情をぶつけるように紙にそう書いて見せた。
「何歳違うと思ってる。」
今度は呆れられてる。
その態度に胸がチクンと痛むけど
ここで引き下がるわけにはいかない。
『年齢なんて関係ない』
「……わかった。なら、おれの返事はこうだ。こんな男、やめておけ。」
「………」
「命懸けの仕事してるような相手なんて選ぶもんじゃねェ。お前はもっと普通のヤツと普通に幸せになるべきだ。」
そんなふうに言われたって
この恋を終わりにできるわけがない。
『なら一生ひとりでいい』
「なぜそうなる」
『スモーカーさん以外はイヤ』
やばい。
涙が出そう。
やっぱり、声を出して心の底から叫ばなければ
気持ちは届かないの?
『会話もできない女は面倒ですか』
「んなこと言ってねェだろ。」
スモーカーさんが少し声を荒げた。
怒らせてしまった。
視界がにじむ。
俯いて動けなくなった私の頭を
その大きな手が撫でる。
「帰って頭を冷やせ。」
立ち尽くす私を残して、行ってしまった。
ただ、気持ちを知って欲しいだけだった。
応えてくれなくてもいい。
受けとめて欲しいだけだった。
——こんな男、やめておけ。
拒絶されてしまった。
2年間、想いを募らせて
再会できた時は、これ以上ないほど嬉しく
気持ちが舞い上がって
今静かに、花火のように散っていった。
私の恋はこれで終わるのか。
小さくなっていく背中を見つめながら
ひとり涙を堪えていた。