第六章 〜告げる〜
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本当は、自分の言葉で、声で伝えたかった。
でもそれは、残念ながらまだ叶えられそうにない。
夜空の花火はフィナーレを迎えようと
次々と打ち上がり始める。
『すき』
松の枝を拾って、足元にそう書いた。
スモーカーさんの肩を叩く。
「あ?」
枝でそれを指すと
花火の光が地面の文字を照らした。
ドキドキドキドキ。
心臓がうるさい。
「そうか。見れてよかったじゃねェか。」
あぁ、どうやら花火のことだと勘違いされた。
そうじゃないのに。
私はその文字の前後に文字を足す。
何してんだ…と言いながらその様子を見る
スモーカーさんの動きが止まった。
『スモーカーさんが すき です』
今度はちゃんと、伝わったはず。
最後に今までで一番大きな音を立てて
一番大きな花をひとつ咲かせて、花火は終わった。
私はその最後のひとつには目も向けず
スモーカーさんの顔を見つめる。
花火の明かりに照らされたその顔は
何かを考えているように
私の書いた文字を見つめていた。
2人の周りでは花火を見ていた人達が
そそくさと立ち上がり始める。
「……人混みになる。さっさと基地に帰るぞ。」
スモーカーさんがそう言って立ち上がり
歩き出したので、私も急いで後を追う。
伝わった?伝わらなかった?
後ろ姿を追うだけでは、表情が見えない。
もしかして、なかったことにされてる?
勇気を出したのに。
不安になる。
基地の入口が近付き
人気がなくなってきたところで腕を掴むと
スモーカーさんは立ち止まった。
「………」
何も言わずに振り返ったスモーカーさんを
ただ見つめる。
届け。届け。
私の気持ち。
あなたが大好き。
ひとつ息を吐いて、罰が悪そうに頭をかいた。
「お前の好きっつーのがその…男女の恋愛みたいな意味で言ってんなら……勘違いじゃねェのか。」
あぁ、この言い方はきっと
私の気持ちは…迷惑なのかも……
「あの時、ピンチを助けられて、のぼせてるだけだ。」
違う。そんなんじゃない。
見つめたまま、唇を噛んで
一生懸命首を振る。
伝われ。伝われ。
そんな単純な想いなんかじゃない。
2年前から私はずっと……