第六章 〜告げる〜
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あっという間に、お祭り当日になった。
夜のお祭りに向けて
基地の皆はなんとなく浮き足立っている様子。
01部隊は今日は特に任務もない、と
たしぎさんから聞いている。
つまり、スモーカーさんは部屋にいるはず。
仕事を終えた夕方、部屋に戻って
買ってあった新しい服に着替える。
夏らしく、ノースリーブのマキシ丈ワンピース。
いつもと違う、女の子らしい格好。
スモーカーさんは気付いてくれるだろうか。
意を決して、部屋を訪れた。
——トントン
ノックをする手は、少し震えた。
「入れ。」
やっぱり部屋にいた。
そっとドアを開けて顔を出す。
「ミドリか。どうした。」
机に向かい、手には書類が握られていた。
やっぱり仕事をしていたようだ。
『お祭りに行きましょう』
あらかじめ書いておいたメモを出す。
「あァ、港の祭り、今日だったか。」
スモーカーさんは書類を机に置いて
フーっと煙を吐く。
「仕事が残ってる。たしぎとでも行ってこい。」
……やっぱり。
想像していたけど、直接言われると悲しい。
『スモーカーさんと行きたい』
これも、あらかじめ書いておいた。
「わかんねェか?そういうの楽しめる柄じゃねェんだ。つまらねェぞ、おれと行っても。」
『じゃあ私も行かない』
「行ってくりゃいいじゃねェか。そのためにそのヒラヒラしたやつ着て、めかし込んだんだろ。」
「!」
ちゃんと見ててくれた。
普段は着ない、女らしいワンピース。
……やっぱり今日、伝えたい。
「早く行かねェと屋台のもん売り切れちまうぞ。」
話は終わり、とでもいうように
再び机に向かい、書類を手にする。
でも、今日は諦めたくない。
なかなか部屋を出ようとしない私に
スモーカーさんはもう一度視線を向けた。
『花火だけでも一緒に見たい』
そのメモを渡すと、もう一度
フーッと長く煙を吐く。
そしてチラリと時計に目をやった。
「……先に行ってろ。花火までには行く。」
観念したようにそう言ってくれて
私は笑顔で頷いた。
嬉しい。
スモーカーさんと一緒に花火を見られる。
思い出を作れる。
絶対に想いを伝える。