第六章 〜告げる〜
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音の鳴らない恋の行方 第六章 〜告げる〜
ふと、目が覚める。
この部屋は…
そうか私、あのまま
スモーカーさんの部屋で寝てしまったんだ。
体にかけられていた布団と思っていたものは
スモーカーさんの上着だと気付く。
確かに、布団にしては重くて硬い。
けど、スモーカーさんがかけてくれたんだ、と
嬉しくなり、その上着にニヤける顔を埋めた。
——と、気配を感じて隣を見ると
「!!」
上半身裸のスモーカーさんが
うつ伏せになって寝息を立てていた。
初めて見る無防備な寝顔。
ドキドキと心臓がうるさくなる。
昨日のことを思い出した。
初めて抱き締められて
スモーカーさんの体温を感じて
本当に幸せな時間だった。
温もりが心地よくて
きっとそのまま寝てしまったんだ……
でも、まさか
一晩一緒に、ひとつのベッドで……
顔が熱い。
寝ながら変なことしなかっただろうか。
歯軋りとか…寝相が悪いとか…
もしそんなことがあったら恥ずかしすぎる。
起こさないように、そっとベッドから抜け出す。
——と、
「……起きたのか。」
起こしてしまった。
振り返ると、スモーカーさんは
頭をかきながらあくびをひとつして
ベッドの端に座り、葉巻に火をつけていた。
「お前につられて寝ちまった。」
やっぱり、私が先に寝てしまったんだ。
恥ずかしい。
私は頭を下げて、逃げるように
スモーカーさんの部屋を後にした。
今日は仕事だ。
早く支度をしないと。
部屋へ戻りながら、先程のことを思い出す。
ひとつのベッドで一晩一緒にいて
ともに朝を迎えたというのに
スモーカーさんの様子はいつもと変わらない。
「………」
ため息が出る。
意識しているのは、やっぱり私だけ。