第四章 〜動き出す〜
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「悪かったな。」
ふいに謝られる。
何に対して謝ってくれているのかわからなくて
不思議な顔をしていると
そのままスモーカーさんが続ける。
「ここにお前を呼んだのは、おれだ。」
予想もしなかった言葉に驚いた。
中将ともなればそのくらいの権限はあるだろうけど
まさかスモーカーさんが
私の異動を決めてくれていたなんて。
「また会える、なんて適当なことを言って置いてきちまったからな。かと言って今さらあんなとこまで行くのも面倒くせぇ。手荒だったが約束は守ったぞ。」
また会う約束を守るために
私をここへ呼んでくれた。
たしかに少し強引ではあるけど
私に対してはとても誠実。
言いたいことはたくさんあった。
告白も、いつかはちゃんとしたい。
でも今は、私の素直な気持ちを
メモに綴った。
『また会えて嬉しいです。』
スモーカーさんはそれを読んで満足気に
口角を上げると立ち上がった。
「仕事がまだ残ってる。お前も部屋に戻れ。」
スモーカーさんに続いて立ち上がり
最後にずっとしたかったことをした。
2年前のように
その大きな体に抱き着いた。
正面から、腕に力を込めて。
ちゃんと、満足したら離れる。
そう誓って、目を閉じ
久しぶりのその感覚を満喫した。
大きな手が、頭の上に乗せられる。
「……相変わらず、これが好きだな。」
満足して、笑顔を見せて体を離すと
スモーカーさんは席に戻り再び書類を手にした。
「じゃあな。」
相変わらず素っ気ない態度に
少し寂しい気持ちを残しながらも
頭を下げて部屋を出る。
ドアを閉めて思わず頬が緩んだ。
会えなかった2年の月日を考えたら
再会できた今、ものすごく幸せを感じる。
こうして同じ場所に呼んでくれたなんて
嬉しいことだし
これからは基地の中でいつでも会える。
それ以上を望んだら、バチが当たりそうなほど
今はとても幸せ。
それに、こうしてまた会うことができて
やっぱり思った。
私はスモーカーさんが好き。
ずっとずっと、好きでいて良かった。
これからも好きでいる。
私の止まっていた初恋が
再び動き出した。