第四章 〜動き出す〜
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ミドリがG-5にやって来て3日目の夕方
スモーカーを乗せた01部隊の船が帰港した。
「ん?何やら食堂が賑わってますね。」
「あ?」
廊下から見えた食堂の賑わいが気になり
たしぎは隣を歩くスモーカーの歩みを止めた。
「お昼時でもないのに。」
扉の外から中を除くと、多くの兵士たちが
カウンターから厨房の中を覗いていた。
「見えた見えた。」
「へぇ〜あの子か。」
「可愛いな〜こっち向かねェかな〜。」
「笑いかけてくれねェかな〜。」
「誰がお前なんかに。」
兵士たちの会話から、ピンときたたしぎは
嬉しそうに顔の前でひとつ手を叩く。
「もしかして!ミドリがもう着いてるんじゃないですか!?」
「……そうかもな。」
さほど興味もなさそうに
スモーカーは再び歩き出した。
「ちょ、スモーカーさん!会っていかないんですか!?2年ぶりですよ!?」
「うるせェ。報告が先だ。」
「私は顔見てきますね!」
「……好きにしろ。」
「もう!報告書なんて、いつもは後回しなのに。」
ノリの悪いスモーカーに文句を言いながら
たしぎはひとり食堂の扉を開く。
ーーーーーーー
「ミドリ!ミドリ!!」
先輩コックと一緒に野菜の仕込みをしている時
聞き覚えのある声が私を呼んだ。
ハッとして顔を上げ、声がした方を見ると
カウンターからこちらを見てる兵士さんの後ろから
たしぎさんが手をあげていた。
「行ってこいよ。」
それに気付いた先輩がそう言ってくれたので
その言葉に甘えて厨房を出た。
「ミドリ〜!!元気そう!!」
懐かしい笑顔に涙が込み上げる。
広げてくれた腕の中に飛び込むと
大きな胸の柔らかい弾力が頬を包んだ。
前よりも背も高くなったし、髪も長くなったし
すっかり大人の女性になっていて
なんだかドキドキした。
「あの時は置いていってごめんなさい。会いたかった。こんなところまで来てくれてありがとう。」
腕の中で首を振る。
欲しかった言葉を全部くれた。
2年の間に積もり積もった寂しい気持ちが
一気に吹き飛ばされる。
ちゃんと私を覚えていてくれた。
「大佐ちゃんは相変わらずべっぴんだし、ミドリちゃんは物静かで可愛いな〜。」
「うちの基地の天使が2人になったな。」
抱き締め合う私たちの周りから
デレデレとした空気が流れると
たしぎさんは彼らをキッと睨む。
「あなたたち!ずっとここにいたようですが仕事は片付いているんですか!!」
「っかー!やっぱ大佐ちゃんに叱られるとやる気出るな!!」
「スモーカー中将の隊がいない間は仕事が進まねェもんなァ!」
怒られているにも関わらず、ヘラヘラと笑いながら
集まっていた兵士の皆は退散していった。
「まったくもう……」
静かになったところで
たしぎさんに一番聞きたかったことをメモに書く。
『スモーカーさんは?』
私がG-5に来たとき、スモーカーさん率いる
01部隊は海へ任務に出ていると聞いて
すごくがっかりした。
でも今、たしぎさんがここにいるということは…
期待を胸にメモを見せると
たしぎさんはニコッと笑った。
「帰って来てますよ。」
その言葉に
嬉しさと緊張と不安と焦り。
色々な感情が入り混じり、体が熱くなった。