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——
ここを仕切る海軍本部大佐・スモーカーは
今日も海賊を捕縛していた。
「毎日毎日沸いて出てきやがって。連れて行け。」
「はっ!!」
捕らえた海賊を兵士たちに託したところで
部下のたしぎが報告に現れる。
「スモーカーさん!向こうの路地で奴らの抗争に巻き込まれた男性が倒れているそうです!」
「チッ…」
海賊の残党がいるかもしれない、と現場へ向かい
できていた人集りの中心へ行くと
血を流して倒れている男と、座り込む少女の姿。
血溜まりの量から、その男が手遅れであることは
すぐにわかった。
「見せもんじゃねェ!失せろ!!」
スモーカーの一声で周りの人集りはなくなり
兵士たちは残党の捜索へと散った。
その場に残ったのはスモーカーとたしぎ
そして亡くなった男性の隣に佇むひとりの少女。
「……お前の親父か。」
少女の隣に胡座をかいて座り
スモーカーが話しかけると、彼女は頷いた。
顔を見れば、涙を流すこともなく
無表情で、ただ父親を眺めているだけ。
ショックで思考が停止しているのか
まだ現実を受け止められないのか
少女の表情にスモーカーは違和感を感じた。
見たところ15、6歳といったところか。
「母親はどうした。」
もうひとつ質問をすると、今度は首を横に振った。
表情が少し寂しげになったことから
スモーカーは悟った。
「……いねェのか。」
頷いた。
一切喋らない、無口なヤツだ。
どうしたものか、と立ち上がると
見かねたたしぎが耳打ちをする。
「父親を失ってショックを受けているんですよ。母親もいないなら、一度こちらで保護しましょう。」
ガサツな自分にはない気遣いができるたしぎに
スモーカーは度々このように救われた。
たしぎの提案を素直に聞き入れ
この少女を基地へ連れて行くことにした。
「立てますか?一度海軍基地へ案内します。」
たしぎが声をかけた次の瞬間
彼女の体からはフラフラと力が抜け
その場に倒れそうになったのを咄嗟にスモーカーが抱き止める。
「だ、大丈夫ですか!?」
「……あァ、気絶してるだけだ。」
薄れていく意識の中で感じたのは
力強い腕の感触と、鼻をくすぐる葉巻の香り。
これが、スモーカーさんとの出会い。
そして、人生に絶望していた私の
一世一代の恋がはじまる。