第三章 〜遠のく〜
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私がここへ来て2ヶ月が過ぎた頃だった。
複数の海賊が暴れていると情報が入って
基地内は慌ただしく、スモーカーさんと
たしぎさんはもちろん、兵士の皆は出払い
基地内はガランとしていた。
お腹を空かせて帰ってくるであろう彼らのために
厨房は忙しく回転し、食事の支度を整えた。
ここではよくある光景だったけど
突然の嵐のような大雨に、なんだか胸騒ぎがする。
棟内がザワつき始め
兵士の皆がバタバタと戻ってきたのを確認し
私はスモーカーさんとたしぎさんの姿を探した。
無事に帰ってきていますように。
「申し訳ありません!思わぬ突風でバギー一味を逃してしまいま…」
「麦わらを追うぞ。船を出せ。」
「え!?追うって!?」
大勢の兵士さんに囲まれた2人を見つけたけど
見たこともないくらい緊迫した様子。
「
「え!!?」
さらに聞こえたスモーカーさんのその言葉に
私は雷に打たれたように動けなくなった。
「行きましょう!!私も行きます!!」
「曹長まで!!」
「私はロロノアを許さない!!必ず私の手で仕留めてやる!!」
予想もしていなかった出来事だった。
走り回る兵士さん達の邪魔にならないように
なんとか廊下の隅まで移動し、壁に手をついて
気持ちを落ち着かせようとした。
「大佐が
「ただちに船の用意!!」
もちろん聞いたことある。
入口がこの島の近くにあるという
もっとも大きくて危険な海。そして海賊の墓場。
この街はいつだって
そこを目指す海賊達で溢れていた。
スモーカーさんによって鎮圧されてきたのに
そのスモーカーさんが
海賊を追ってここを離れてしまう。
私のそばから、いなくなってしまう。
大好きな、たしぎさんも。
気付けば部屋へと走り、荷物をまとまていた。
どうしようと言うのだろう。
私なんか連れて行ってもらえるはずないし
足手まといでしかないのに。
でも、このまま離れ離れなんて絶対に嫌だよ。
また、私の用意した食事を食べに来てくれたり
昼食を忘れたスモーカーさんに食事を届けたり
中庭で話をして、怒ったたしぎさんが呼びに来たり
そんな楽しい毎日が
ずっと続くと思っていたのに。
溢れる涙に構いもせず、鞄を持って
クマのぬいぐるみを手に、船のある港へ走った。
ーーーーーーー
「大佐!上官からです!町の管轄はどうするつもりだとお怒りで——」
「んなことはてめェで考えろと言っておけ!」
ひどい暴風雨の中
出航の準備をする兵士さん達の中心に
スモーカーさんとたしぎさんを見つけた。
「こんな嵐の中を出せるんですか!?」
「問題ねェ。どうせすぐに
「えっ……ミドリ!?その荷物は……」
ふと、たしぎさんが私に気付いて声を上げ
スモーカーさんもこちらを振り返る。
一瞬驚いた表情を見せて、眉間に皺を寄せ
ズカズカとこちらへ歩いてきた。
なんて馬鹿なことをしてるんだ、と
怒られるだろう。