プロローグ
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音の鳴らない恋の行方 〜プロローグ〜
私がまだ5歳の頃
母親が事故で死んだ。
記憶はあまりないけれど
母は優しくて温かくて、大好きだった。
最愛の人を突然亡くした父は
酒に溺れ、私に強くあたるようになった。
幼い頃から仕事ばかりさせられて、友達もいない。
満足な食事を与えられない上に
少しでも逆らうと容赦なく暴力を振るわれる。
そんな毎日を過ごしていたある日
私は突然、声が出なくなった。
お医者さんによると、ストレスが原因だそう。
「そんなに俺が憎いなら出て行け。」
私に行く宛がないことをわかりきっていた父は
口癖のようにそう言っていた。
そんな父が今日、命を落とした。
その時、私は家にいて
隣に住むおばさんから知らせを聞いて現場へ行くと
父はすでに動かなくなっていた。
街にいた海賊同士の抗争に巻き込まれたらしい。
唯一の肉親を殺され、ひとりになった私。
涙は一滴も出ない。
それどころか
あぁ、これで解放される、そう思った。
心はとても穏やかだった。
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