最終章
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—side ミドリ—
悲しくて悲しくて
どうしようもないほど辛かった。
毎日エースを想って涙を流して
彼のいなくなったこの世界を
生きていかなければならない現実に押し潰された。
でも、ここからどう這い上がったらいいのか
私はもう、やり方を知ってる。
エースが教えてくれたから。
いくら泣いてもいいんだ。
ただ笑顔は忘れない。
エースが守ってくれた、この笑顔は。
「私は大丈夫だよ、エース。」
彼が空から見ている気がして
空に向かって笑顔を作った。
さっきまで泣いていたから
きっと涙でグシャグシャで、格好悪いけど
少しでも彼が安心してくれたら、と。
「エースの帽子、持ってくか?」
お参りを終える頃、ふいにマルコさんが言った。
「え?」
「2人が特別な関係だったことは、皆知ってた。
夫婦になっててもおかしくなかったろ。
ミドリには片身を持つ権利がある。
誰も文句は言わねェよい。」
「そっか、皆知ってたんだ……」
皆に知られているとも知らず
見つからないように必死で隠れて会って
2人の時間を作ったりして
思い返してみると、なんだか恥ずかしい。
そして、懐かしく感じる。
こんな気持ちになれるくらい
私の心が癒されてきていることがわかり
自分で安心した。
今日、ここへ来てよかった。
私はきっとここから前を向いて歩いていける。
「ありがとうございます。
でも、帽子はここに置いておきます。」
「いいのか?」
「……エースはずっと
オヤジさんの傍らで戦ってきたんです。
だからこれも、オヤジさんのそばに
置いておくべきです。」
「そうか…そうだな。」
私は大丈夫。
エースが守ってくれたこの笑顔を忘れずに
彼の分も、これからを生きていける。
時々は遠いあなたを思い出して
泣いてしまうこともあるかもしれないけど
きっとまた笑える。
だから、安心してね。エース。
「また来るね。」
お墓に向かってそう告げ
最後にもう一度、空に向かって笑顔を向けた。
ねぇ、エース。
あなたに出会ってからの毎日は
本当に幸せだった。
たくさんの愛をもらえて
いつもキラキラと輝いて
宝物のような毎日だったよ。
こんな私を
愛してくれて、ありがとう。
…fin