最終章
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こうやって手を伸ばしても
二度とその温もりを感じられないもどかしさに
体が震えた。
泣き顔でもいい。
ちゃんと顔が見たくて、おれの方を向かせたくて
頬から顎へと手を滑らせると
偶然なのか、ふいにミドリが顔を上げた。
鼻をすすって、涙を拭う。
「……好きなだけ泣くといいよい。」
「ありがとう、マルコさん。
でも、エースが……私が泣いてたら
成仏できないって言ってる気がして。」
ミドリからはおれが見えていないはずなのに
ミドリは確かにおれに向かって
泣き顔のまま
ふわりと笑った。
「私は大丈夫だよ、エース。」
心から安心した瞬間、体が急に軽くなる。
気持ちがいい。
待たせたな、オヤジ。
今そっちにいく。
そしたらまた、2人で酒を酌み交わそう。
ミドリ。
たくさんの愛を、ありがとう。
おまえのそばにいられて
おれは本当に幸せだった。
おれの掌で簡単に包み込める小さな手。
抱き締めたときの温度。香り。
指を通すとさらりと流れる髪。
いくつものキスを交わして、名前を呼び合い
ひとつになった夜。
くしゃくしゃの泣き顔も
怒らせたときの拗ねた顔も
困った顔も
おれだけに見せる、艶やかな顔も
おまえの全てが愛おしかった。
仲間たちに囲まれた毎日の中で
おまえがいつも笑っている。
あの日々は全部、おれの宝だ。