第六章
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おれが呆気に取られているうちに
ホテルの一室に2人きりになったところで
ミドリの行動の意味を理解した。
大きめのベッドを前に
今にも火が出そうなほど顔の赤くなったミドリが
そっとおれの帽子に手をかけて外した。
「ミドリ、嬉しいけどよ…無理することねェから。」
そう言うとミドリは首を横に振った。
「無理なんかしてない。あの時も…
本当は、嬉しかったの……」
おれの帽子で顔を半分隠すようにしながら
静かにミドリが話し始めた。
「エースがその…ああいうことをしてきたのは
私を好きだと思ってくれているからでしょう?」
「当たり前だろ。」
「嬉しかった。同時に、怖くなっちゃったの。
何も経験なんてなかったし…
キスもまだ慣れてないのに、それ以上進むのが。
変なことをして、エースに
幻滅されちゃうんじゃないかって。」
「幻滅なんて、するわけねェ。」
「ありがとう。私、心の準備をする時間が欲しくて
2人になることを避けてた。
不安にさせてごめんなさい。」
2人の間にある自分の帽子を床に投げて
思わず抱き寄せた。
「ミドリ、おれだって全部お前が初めてだ。
そばにいたいと思ったのも
特別でいたいと思ったのも
触りたくなったのも、お前だけだ。」
久しぶりのミドリの感触。
髪の香り。
全身で感じるように、目を閉じた。
「うまくできなくたっていいじゃねェか。」
「うん、そうだね。」
ミドリが笑顔になったのがわかる。
「抱いてください。」
これ以上ないほどの殺し文句だった。
返事の代わりに、口付けをした。
お前が大好きだ。
愛してる。
普段照れ臭くて言えるはずもない気持ちを込めて
深いキスを。
ミドリ。
おれたちが初めてひとつになった日を覚えてるか。
おれはこの上ない幸福を知ったんだ。
腕の中で、何度もおれの名を呼びながら
一生懸命に受け入れてくれたな。
おれにとって宝物のような思い出だ。
ーーーーーーー
おれとミドリが出会って一年が過ぎた頃。
まさに、順風満帆だった。
世界最強と呼ばれるオヤジの元で自由に生き
そばにはいつも大事な仲間たちと
ミドリがいる。
そんな中、突然事件は起きた。
「サッチ!!」
「隊長!!」
「サッチさん!!」
その場にいる誰もが
夢であってくれと願った。