第六章
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ナース部屋へ戻ろうと通路を歩いている時だった。
前からエースがひとりで歩いてくるのが見える。
通路の前後を見回して、誰もいないことを確認し
話をするチャンスだと、小走りで彼に駆け寄った。
エースも気付いてくれたようで
軽く手を上げてくれる。
「ミドリ。」
「エース。ひどい嵐だったね。お疲れ様。」
「まァそんなに珍しくもねェけどな。」
「なんか、こうやって話すの久しぶりだね。」
「あァ。ゆっくり話したいが
今オヤジに呼ばれてるんだ。行かねェと。」
「そっか。ごめん、引き止めちゃって…」
久しぶりにちゃんと顔を合わせたのに
彼は忙しそうで
あからさまに落ち込んだ態度を取ってしまった。
「あの…じゃあ、またね。」
「待った。」
歩き出そうとしたところで手を引かれ
そのまま抱き寄せられる。
「エース!誰かに見られちゃうよ!」
内心は嬉しいのに、いつ誰かが現れても
おかしくない状況に気が気じゃない。
「悪い。ちょっと充電。」
エースは私の髪に顔を埋めて目を閉じた。
ひとつ深呼吸をすると満足気な笑顔になる。
「よし!じゃあ、またな!」
歩き出すエースの腕を
今度は私が掴んで引き止めた。
エースは満足しても、私は…
「全然足らないよ…」
あぁ…彼を困らせたくないのに…
物分かりがよくて、必要とされるときに
エースを癒してあげられるような
そんな恋人でいたいのに
少しも2人になれないから、我慢の限界なのかも。
「もっと2人でいたいのに…」
一度抱き締められたくらいじゃ満足できないほど
私は欲張りになってしまった。
「ごめん。わがままだってわかってるんだけど…」
でもこんな女でもエースは
ちゃんと受け止めて、大事にしてくれるんだ。
「……今夜、おれ見張りなんだ。」
「……え?」
「起きれたらでいいから…来いよ。見張り台。
おれも2人になりたい。」
「うん…行く。」
半ば拗ねたようにそう返事すれば
エースはまた嬉しそうに笑って
髪をクシャッと撫でてくれた。
「誰にも見つかるなよ。じゃあな。」