第六章
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precious 〜第六章〜
—side ミドリ—
「クソッ!シケってきたな!」
「海軍から逃げきったばかりだってのによ!」
今、白ひげ海賊団を乗せたモビーディック号は
物資調達のため、拠点の島を離れている。
大荒れの海の真ん中。
船の中を忙しそうに走り回るクルー達を前に
私たちナースは、ただ邪魔にならないよう
隅の方で待機しているしかなかった。
「グララララ!なかなかデカい嵐だったな!」
騒動が収まり、皆が一息つく頃
他人事のようにオヤジさんが笑った。
「皆さん疲れましたよね。おにぎりどうぞ!」
「うお!気が利くな!」
「ありがとうよ!」
「うん、うめェ!」
甲板で休憩する皆に何かしたいと
私たちナースはおにぎりを作って配った。
「ありがとうな、ミドリ。」
「うん。お疲れ様。」
エースにも手渡し、目と目を合わせて笑い合う。
でもすぐに顔を逸らして
私は他のクルーにも配るべくエースに背を向ける。
彼と付き合い始めてもう3ヶ月が過ぎた。
この船の上で、私たちの関係は秘密。
皆の前でバレないように接することにも
だいぶ慣れてきた。
「宝も金も食料も十分だ!島へ戻るとする!」
「「「オウ!!」」」
オヤジさんの号令を合図に
船は拠点の島へと進路を取る。
ここからどのくらいかかるかわからないけど
帰れることにホッとした。
この海の航海には
正直まだ慣れることができないでいた。
先ほどのような突然の嵐に、異常気象
敵の海賊の襲来、巨大な海王類の出現
海軍に見つかれば戦場のようになる。
大変なのはクルーの皆で
私たちなんて守ってもらってばかりだけど
それでも、心が休まる時間はあまりなかった。
そんな船上生活の中なので、私とエースは
なかなか2人になることができずにいる。