第五章
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「なんだ、お前らも来たのかよい。」
声がした方を見ると、私たちのとは別に
ろうそくの火が灯っている。
薄暗くてよく見えないけど
ろうそくを持ったマルコさんがいた。
「話聞いたら私たちも見たくなっちゃって。
星は?」
「まだみたいだ。」
どうやら先輩はマルコさんから星のことを
教えてもらったようだった。
「誰だ?マルコ。」
「あァ、ナースたちだ。
昼間にこのこと教えたんだよい。」
「こんばんは。」
「よく起きれたな。」
薄暗くてよく見えないけど
マルコさんの後ろからサッチさんが顔を出した。
そして、その隣にエースもいる。
「ミドリ。」
「エース。」
まさかこんな時間に会えるとは思っていなくて
嬉しさと恥ずかしさが込み上げる。
——船の上では今まで通り、友達ね
昼間のやりとりを思い出して
頬が緩むのを抑え、すまし顔を作った。
マルコさんとサッチさんと先輩たちが
甲板の前方へ移動し始めたので
私も後を追いながら、何となくエースと隣を歩く。
「よく起きれたな。」
「先輩たちに起こされて。」
「おれも。サッチの野郎に。」
エースは笑っていた。
その笑顔のお陰か、なんだか私の緊張もほぐれた。
「寝癖。」
エースがそっと手を伸ばして
私の髪に軽く指を通した。
思わず体が強張る。
「あ、悪い…」
「ううん、ありがと。」
照れ臭い空気が流れるけど、そんなことには
気付きもせず、前にいた皆が声を上げた。
「あ!」
「おお!!」
急に立ち止まって空を見上げたので
私とエースも同じように顔を上げた。
「わぁ……」
「へェ……」
澄んだ夜空に
ひとつ、またひとつと星が流れた。
「これか!何とか流星群!」
「キレイ…」
「せっかくだ。灯りを消すよい。」
ろうそくの火を消すと
より一層星の光が輝いて見える。
流れては消え、また流れては消え
少しずつその数を増やしていった。
「私、寝ながら見たい。」
「いいね!私も!」
先輩の提案に、皆一列に並んで横になった。
大の大人が皆して寝転んで空を見上げて
側から見たら少しおかしいかもしれない。
甲板の床の硬さなんて気にならないほど
夜空に魅力されていた。
「キレイですね。」
「他のヤツらも起こすか?」
「起きねェだろ。」
「オヤジは?」
「昼間に誘ったら、流れ星なんて
珍しいもんじゃねェって笑ってたよい。」
「ははは。さすがオヤジだなァ。」
暗闇の中
皆の声に混じって聞こえるエースの声が
なんだか近くに聞こえてくすぐったい。