第五章
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—side ミドリ—
——お前が好きだ、ミドリ。
昨日の言葉が、まだはっきりと耳に残っている。
思い出す度に胸が熱くなる。
好きな人が、自分を好きになってくれるなんて
奇跡のようなもので
それがこの私の身に起こるなんて。
街を海賊に襲われて、父と母を亡くした私は
まさにどん底だった。
そこからエースによって救い出されて
そんな彼とこのまま一緒にいれば
きっと、ずっと幸せ。
そう、今の私は怖いくらいに幸せだ。
だから、エースから暗黙のルールを聞いて
あまり2人ではいられないと言われても
それほど悲しくはならなかった。
だって、そばにはいられなくても
同じ船の上にいられるし
会えなくなるわけじゃない。
ずっとずっと好きな人のそばで生きていく。
こんなに嬉しいことはない。
ーーーーーーー
「ミドリ。ミドリ。」
名前を呼ばれて重いまぶたを開く。
「ん……」
目の前にナースの先輩の顔。
はっと我に返って起き上がる。
「ごめんなさい!私、寝坊しました!?」
「違う違う。まだ夜。」
「え……?」
焦って起き上がると、同部屋の3人の先輩たちが
火の灯ったろうそくを手に起きていた。
「星、見に行かない?」
「なんか今夜、流れ星が見られるらしいよ。」
「ミドリも一緒に行こうよ。」
半分寝ぼけながらも
彼女たちに促されるまま部屋を出た。
甲板に出ると、いつもとは違った静けさの中
ひんやりとした夜風にさらされて
はっきりと目が覚める。
そういえば夜中に部屋を抜け出して
外へ出るのは初めてだ。
真っ暗な海から波の音だけが聞こえてくる
不思議な空間となっていた。