第四章
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—side ミドリ—
昨夜はほとんど、眠れなかった。
エースの温もりが
身体から一向に消えてくれなかったから。
それに
——悪かった!間違えたんだ。
エースの言葉も引っかかる。
間違えたって、私を他の誰かと間違えたってこと?
もしそうだとしたら
エースには、ああいうことをするような
特別な相手がいることになる。
本当のことを知りたい。
エースの気持ちを知りたい。
でも、知るのが怖い。
船にいると余計なことばかり
考えてしまいそうだったから、日用品の買い出しへ
皆の代表で行くことにした。
街に出れば、気が紛れるだろうと。
でもそれが裏目に出て
迷子になり、雨にまで降られてしまった私は
広い林で動けなくなった。
不安で涙が出そうになる頃に
エースが来てくれたときは
心の中で神様にお礼を言った。
自分のピンチに好きな人が駆けつけてくれるなんて
夢みたいだ。
雨が止むまで、エースと2人でいられることも
嬉しく思った。
昨日のこと、ちゃんと確かめなくちゃ。
そう思ったけど、今はこの楽しい時間を
壊したくないと、話題に出せずにいた。
そんな時
「ミドリ。話があるんだ。」
来た、と思った。
いつもより真剣な、エースの表情。
きっと、真実を知ることになる。
「その…昨日は悪かった。」
……やっぱり。
「平気。きっと酔っ払ってたんだよ。」
「そんなことねェ。
おれ…距離を間違えたっていうか…
順番を間違えたっていうか…」
距離?順番?
誰か、他の人と間違えたんじゃなくて?
罰が悪そうに頭を掻きながら話すエースの隣で
私の頭にははてなマークが並ぶ。
「うまく言えねェ。ちょっといいか?」
言葉を探すのを諦めたエースは
そっと私の肩に両腕を回して
そのまま抱き寄せた。
「エース?」
「嫌ならすぐ離す。言ってくれ。」
昨日の力強かったそれとは違って
私を気遣うようにふわりと優しく
それでいて少し緊張しているような
そんな抱き方だった。
「………嫌じゃないよ。」