第四章
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precious 〜第四章〜
—side エース—
やばい。
完全にやっちまった。
嫌われても仕方ないほどの失態だ。
あの時
——エースもいてくれたおかげで
今、とても楽しい。
すげェ嬉しい言葉をもらえて
——だから、ありがとう。
おれだけに向けられたその笑顔を特別に感じて
気付いたら体が勝手に動いていた。
1日経った今でも
この手にはっきりと残ってる。
ミドリの温もり。感触。
全てがおれのそれとは別物だった。
サラサラとした髪質も
小さく細いのに、柔らかい体も
鼻をくすぐるいい香りも、染み付いて離れない。
クセになりそうで怖いほどだ。
本当はちゃんとおれの気持ちを伝えて
ミドリの気持ちも確かめてから
あわよくば恋仲に、なんて考えていた。
なのに、完全に間違えた。
理性を失って、やりたいようにやっちまった。
ミドリに怖い思いをさせちまったかもしれない。
ちゃんとした女の扱い方、恋愛の進め方を
マキノに聞いておくべきだったと後悔している。
「……っだァ〜!クソっ!!」
自分の失態を掻き消すように
ガシガシと頭を掻いた。
こんなことをしても
無かったことには出来やしないのに。
ちなみにここは2番隊の寝室。
クルー達はとっくに起きて
部屋にはおれしかいない。
随分前から目は覚めているが
布団から出られずにいる。
こんなのおれらしくねェ。
男なら堂々とミドリに会いに行って
気持ちを伝えるべきだ。
「……よし!」
意を決して、勢い任せに起き上がり
両手で頬をバチンと音がするほど叩いて
気合を入れる。
このままここで引きこもってるわけにはいかねェ。
フラれたって構わねェ。
ちゃんとおれの気持ちを伝えに行こう。
グシャグシャと乱暴に乱れた髪を直し
寝室を後にした。