第三章
夢小説設定
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「無事でなによりだ。手間ァ取らせたな。
ゆっくり休め。夜には宴だ。」
「なんてことねェ。また後でな、オヤジ。」
オヤジへの報告を終え、部屋を出る。
確かに、連日の航海で体は少し疲れている。
でも今は眠るよりも、あいつの笑顔で癒されたい。
そのまま自室へは行かず、船内を探し回った。
男たちは立入禁止のナースの部屋前を通ってみたり
普段は歩かない通路を歩いてみたり
食堂にも寄ってみた。
しかし
どこにもミドリの姿は見つけられなかった。
もしかしたら、さっきはいなかった
甲板にいるのかもしれない。
思い立って行ってみれば、積荷整理も終わったのか
船員たちの姿もまばらになっていた。
「あははっ、サッチさんそれおかしいです!」
甲板の隅の方から聞こえた声に敏感に反応する。
ミドリだ。
焦る気持ちを抑え、声のする方へ向かうと
階段に腰掛けるミドリのそばに
マルコとサッチの姿があった。
3人で楽しく談笑していた雰囲気が
一瞬で見て取れた。
おれだけしか見たことがなかったはずのその笑顔を
2人に振りまいている。
すげェ、焦る。
なんとも言えない焦燥感に立ち尽くした。
「あ!エース!!」
最初におれに気付いたミドリが
嬉しそうに立ち上がった。
「よォ。おかえり。」
「長かったなァ。お疲れさん。」
ミドリに続いてサッチ、マルコも
おれに向かって手を挙げる。
「おう!帰ってきたぜ。」
平静を装って3人のもとへ行く。
「本船も変わりないようだな。」
「あァ、平和なもんだよい。」
「2番隊が戻ったから、今夜は宴か?」
「あァ、オヤジがそう言ってたぜ。」
「宴?」
「そうか、ミドリは初めてか。」
「簡単に言やァ甲板で酒飲んで騒ぐだけだ。」
「船の上で宴会!楽しそうですね!」
「仕方ねェ。準備を始めるか。」
サッチは面倒臭そうにしながらも
内心は張り切っているようで
ひとつ伸びをして、両腕の袖をまくりながら
キッチンの方へと消えていった。
マルコはあくびをしながら伸びをする。
「おれは宴前に一眠りだ。また後でな。」
「おう。」
「マルコさん、また。」
2人きりになったおれたちの間を
心地良い風が吹き抜ける。
会いたくて、会いたくて
たまらなかったはずなのに
柄にもなくおれは緊張して
かける言葉を見つけられずにいた。