第一章 〜真実と彼の笑顔〜
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しばらくして、おばあちゃんが目を覚ました。
「心配かけたわねぇミドリ。マルコちゃんも、わざわざありがとう。」
「おう。」
「洗濯物なんて私がやるから、おばあちゃんはやらなくていいっていつも言ってるのに。」
「いつもミドリにばかりやらせちゃってるから。今日は調子が良かったしね。」
「今日みたいに暑い日は、調子が良くてもあまり外に出ちゃダメだよ?」
「わかりましたよ。」
私たちのやりとりを見て
マルコさんは嬉しそうに笑っていた。
「マルコちゃん、今日は夕飯食べて行けるの?」
いつものようにおばあちゃんが誘うと
マルコさんはまた私をチラッと見る。
私は少しだけ考えて
「……大したものは作れないですけど、良かったらどうぞ。」
ぶっきらぼうにそう答え
立ち上がって台所へ向かう。
「ありがとよい。」
後ろから嬉しそうなマルコさんの声が聞こえてきた。
その弾んだ声に私も思わず口元が緩む。
この村に来た理由を教えてくれたこと
おばあちゃんを救ってくれたこと
涙する私のそばにいてくれたこと
彼の行動が、私との間にある壁を
少しずつ崩していった。
ーーーーーー
「あんなにうまい飯を食ったのは久しぶりだったよい。」
夕食後、皿洗いを手伝ってくれながら
マルコさんは嬉しそうに言った。
「お口に合ってよかったです。」
「……俺を信用してくれたってことでいいのか?」
「……まぁ、おばあちゃんの主治医としては、ですけど……」
「ありがとよい。」
マルコさんはまた笑った。
マルコさんの笑顔は
いつもキラキラとまぶしくて
だけど安心できて
どことなく寂しそうでもあって
年齢を感じさせないくらいに格好良くて
最近その笑顔を見るたびに
私は胸の奥がギュッと縮まる。
〜第二章へ続く〜