最終章 〜別れとはじまり〜
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それから数日が経って
ばあちゃんの診察へ行くと
珍しくばあちゃんが起きていた。
「…あの子が…迷惑かけてて悪いねぇ。」
うつろな目で俺を見て
話をするのも辛そうだった。
「迷惑なんてこと、何もねェよい。」
「恋人のふり、してくれてるんだろ?私のために……」
「……気付いてたのか。」
「恋人じゃなくてもいい。私が逝った後も、あの子のことを……気にかけてやってね。」
ばあちゃんがゆっくりと手を伸ばしたので
その痩せ細った手をできるだけ優しく握る。
「安心しろよい。俺がずっとそばにいる。」
「……嘘でも嬉しいよ。」
そのまま、ばあちゃんは目を閉じた。
「……嘘じゃねぇよい。」
呼吸が弱くなってきている。
俺はばあちゃんの手をそっと下ろして
庭にいるミドリを呼びに行く。
「そばにいてやってくれ。」
俺の表情から察したのか
ミドリは深く頷くと、寝室へと走った。
ーーーーーーー
その日の夕刻
ばあちゃんはミドリの前で
息を引き取った。