第七章 〜彼の涙と告白〜
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「悪い。怖がらせたな。」
マルコさんは上体を離して起き上がり
私の腕と体は解放された。
私も起き上がり、乱れた髪を直す。
ちゃんと私の本心だし、良かれと思って言ったことだったけど、完全に空回りだった。
あんなに怒らせてしまうなんて。
できることなら時間を巻き戻したい。
少しの沈黙の後に、マルコさんは
先程とは違う優しい声で話し始めた。
「……ああいうことは、軽々しく言うもんじゃねェよい。お前はそんな軽い女じゃねェだろ。」
「ごめんなさい、マルコさん。私……マルコさんと対等になりたかったんだと思います。」
「対等に?」
「マルコさんは大人で余裕があって、私ばっかりいつもドキドキさせられて……ずるいです。」
最低だ。
今日の私は最高に格好悪い。
怒られたからってこんなふうに拗ねた言い方をしてしまうなんて。
「お祭りの日、あまり余裕のないマルコさんを初めて見て…実はちょっと嬉しくて……だから少しだけ、私も余裕を見せたかったんです。」
言い訳ばかり。
こんなんじゃ、本当の恋人にしてもらうどころか
呆れて、嫌われてしまっても仕方ない。
すると、マルコさんはあぐらをかいて座ったまま
私を正面に向き直り
おもむろに私の右手を取る。
「触ってみろよい。」
その掌をそのまま
自分の左胸へとあてた。
「こんなオッサンがみっともねェだろい。」
ドクドクドクドク——
右手からはマルコさんの鼓動が伝わる。
少し速いくらいで脈打っていた。
「お前といるときはいつもこうだ。」
その言葉の意味を理解して
私は一気に顔が熱くなる。
「余裕のあるフリくらいさせてくれ。」
視線と視線が交わる。
向かい合う2人の間を
心地よい風が吹き抜けた。