第七章 〜彼の涙と告白〜
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「喧嘩でもしたの?」
何軒か回った最後
うちへおばあちゃんを診に来ると
私達の口数が少ないことに気付いたのか
おばあちゃんがマルコさんに聞いていた。
私はそれを、夕食の支度をしながら
聞き耳を立てる。
マルコさんは何て答えるだろう。
「そう見えるかい。」
「なんとなくね…ここんとこミドリの元気もないから。」
おばあちゃんの前ではいつも通り振る舞っていたつもりだったんだけどな。
やっぱり敵わないな。
「あの子もまだまだ子どもなところがあるから。苦労かけるわね。」
「ミドリは何も悪くない。俺がよ、ちとヘマしちまって。でも、大丈夫だ。ちゃんと話す。」
「ありがとうね、マルコちゃん。あの子ときちんと向き合ってくれて。」
2人の会話を聞いて
なぜか私は、少し涙が出そうになった。
ーーーーーー
「ミドリ、少しいいか。」
往診を終えたマルコさんから声がかかった。
「おばあちゃん、ちょっと出てくるね。」
「はいよ。」
おばあちゃんは布団に横になったまま
なんだか嬉しそうに笑っていた。
どちらからともなく、あの丘の上へ来た。
村を見渡せる場所。
少しひんやりとした夕方の空気が
そろそろと訪れる夏の終わりを感じさせた。