第六章 〜初デートと酔っぱらい〜
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その手を取って立ち上がり
そのまま私の家へ向かうため、広場を出た。
マルコさんの手は熱かった。
会話はない。
先ほどまであんなに楽しく2人でおしゃべりをしていたのが嘘のよう。
——キスがしてェ。
マルコさんの熱のこもった瞳を思い出す。
男の人からあんなことを言われたのは生まれて初めてだ。
もしかして、少しでも私を女として意識してくれている?
それともただ酔っ払っているだけ?
私のことをからかったの?
マルコさんの気持ちが知りたい。
ふと隣の彼を見上げるけど
前を向いたまま、私の視線には気付かない。
顔は少し赤く、酔っ払っているようだけど
足取りは割としっかりしている。
「ありがとうございます。送ってくれて。」
「あぁ。」
ちゃんと家の前まで送ってくれて
手を離して彼の前に立ち、頭を下げる。
「今日は楽しかったです。」
最後に笑顔を向けると
マルコさんがこちらに腕を伸ばしたかと思えば
そのまま抱き寄せられた。
「………。」
「あの…マルコさん?」
今日はこの人にどれだけドキドキさせられるんだろう。
まだ酔ってるのかな?と腕の中から表情を見上げようとしたら
マルコさんは私の髪に顔を埋めて
同時にさらに強く抱き締められる。
「なァ、どうしたらいい。」
頭の上から響く、少し戸惑いを含めた声。
「時々勘違いしそうになるよい。お前は俺のものだと。」
マルコさんの手が私の腕を撫でながらするりと肩まで上がり
ワンピースの肩紐に人差し指が通された。
その一連の動作に
私の体はビクッと反応する。
「……この服も…俺の為だと期待しちまう。」
今までに見たことのないマルコさんを前に
私は体が固まり、何も言えなくなってしまった。
その様子を察したのか
マルコさんは私から離れると
俯き、地面に向かって深く息を吐く。
「……悪かった。酒のせいだ。」
そのまま目を合わせることなく
背中を向けて帰っていった。
私はその場に座り込みそうになってしまうのを必死で堪えながら
マルコさんの背中が見えなくなるまで見送った。
〜第七章へ続く〜