第五章 〜初恋と2人の距離〜
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それは嘘からはじまる 第五章
〜初恋と2人の距離〜
私が山で遭難しかけた事件から
一週間が過ぎる頃
体調はすっかり元通り元気になり
日常が戻っていた。
今日も相変わらず、村唯一の診療所は朝から忙しく
私もマルコさんも仕事に追われている。
「悪いな、ミドリ。昼飯も食えねェで。」
「大丈夫です。患者さんあと3人、診ちゃってください。」
カルテを渡しながらマルコさんに微笑む。
「おう。」
マルコさんも笑顔を返してくれた。
何気なくこうしてやりとりしているけど
最近自覚したことがある。
それは、明らかに私は
マルコさんを意識しているということ。
いや、きっと意識している、なんて
そんな程度の気持ちじゃない。
はじめはこの気持ちをなかなか受け入れられなかったし、偽の恋人役をやってもらっている人を相手になんて
単純すぎる自分に呆れてしまう。
けど
一度自覚してしまえば
これはもう止めることのできないほど大きくなった
恋心。
私はマルコさんが好き。
ひとりの男性として、恋をしている。
初めて手を繋いだときも
ベッドで抱き締められたときも
男性に免疫がなかったから、あんなにドキドキしたわけじゃない。
相手がマルコさんだったからだ。
現に今も。
マルコさんが患者さんと笑って話をしている。
その横顔を見ているだけで
胸が締め付けられたように苦しくなる。
それなのにもっと見ていたいと思う。
こんな気持ちは初めてだった。
私の遅すぎる初恋。