第四章 〜不死鳥と名前〜
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「マルコさん……」
夢じゃなければいいのに。
幻覚なんかじゃなくて
本物ならいいのに。
そのリアルな感触に耐えきれなくて
そっと手を離すと
両腕を握られて、そのまま抱き寄せられる。
「ミドリ……」
名前を呼ばれながら
大きな体と太い腕に全身を包まれて
ドキンとした。
目の前の白衣から
いつも私が干していたときの、お日様の香り。
この香りは……
「……マルコさん…?」
夢じゃない?
「あぁ、俺だ。しっかりしろ。」
夢じゃない!
「無事でよかった。」
「どうして……」
「ばあちゃんに聞いた。山から帰ってこねェって。見つかってよかった。」
「うっ…うう……」
安心したらまた涙が止まらなくなった。
本当に、死ぬかと思った。
おばあちゃんにもマルコさんにも
もう会えないまま。
たった一晩で大袈裟だけど
本当に怖かった。
「うぅ……う……」
「もう大丈夫だよい。」
こうやってマルコさんの前で大泣きするのは2回目だ。
抱き締められたまま
優しく背中を撫でられて、妙に安心する。