第四章 〜不死鳥と名前〜
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「ちょっと出かけてくるね。」
次の日。
長ズボンにスニーカー
リュックサックに帽子に手袋。
いつもとは違った風貌で出かけようとする私を見て
おばあちゃんが不思議そうな顔をした。
「今日は診療所じゃないの?」
「うん、今日はお休みもらったから、ちょっと山へ行くことにしたの。」
「山へ?どうしたの急に。」
「えっと…野草を取ってこようと思って。」
「そうかい。気をつけなさいよ?」
「大丈夫だよ。行ってきまーす!」
不思議そうな顔をしたままのおばあちゃんを残して、元気よく出発した。
家から1時間ほど歩くと村の端に着く。
そこからまた少し歩いて、山の麓へとやってきた。
「こんなに遠かったっけ……」
いつもはおばあちゃんと話しながらだったから
そんなに苦ではなかったけど
ひとりだとなんだか遠い道のりに感じた。
さらに、昨夜の雨のせいで
ここからの山道はぬかるんでいる。
でも、今更引き返したくないし
何よりお世話になっているマルコさんに喜んでもらいたい。
その一心で私は山道へと入った。
「あれ〜?どこだったっけ……」
いつも野草を取りに来ていた場所は
とっくに着いていいはず。
それなのに、森が深くなり昼間だというのにあまり日が差していない上、だんだんと険しくなる山道。
本格的な山登りになってしまった。
完全に道を間違えた。
「………戻ろうかな。」
足を止めて、180度向きを変える。
何をしているんだろう、私は。
朝からはりきって出てきたのに
道を間違えて、何も収穫できずに引き返すなんて。
来た道を下ろうと歩き出した時
ふと横の斜面に目をやると
あの草を見つけた。
「えっ!嘘!!あった!!」
しゃがみ込んで、目を凝らしてみる。
マルコさんの資料で何度も見た、あの薬草だ。
間違いない。
「やっぱりあったんだ!」
記憶違いじゃなかった。
見つけた嬉しさに、これまでの疲れを忘れる。
ただ問題は、その薬草が生えている場所。
私が歩いている山道の横の斜面を降りないと
採れそうにない。