第三章 〜彼の手とヤキモチ〜
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仕事に励んでいるうちに
嫌なことは頭から離れつつあった。
なのに、午前中の診療が終わり
私が洗濯物を干して戻ってくると
マルコさんがあのお弁当を食べていたので
再び私は、どこにもぶつけようのない怒りのような感情に包まれた。
「私もお昼いただきます。」
「おう。」
マルコさんと向かい合わせに座り
作ってきたおにぎりを出す。
彼のお弁当にはおかずがぎっしり。
誰が見ても美味しそうだ。
それに比べて私はおにぎりが3つ。
なんとも惨めな気分。
「美味しそうですね。」
嫌味をたっぷり込めて言ってみた。
「あぁ、うまい。半分やろうか?」
「いりません。」
「なんだか機嫌が悪そうだなァ。」
マルコさんは大口を開けて楽しそうに笑った。
「別に、そんなことないです。」
「午後から往診だ。一緒に来るなら機嫌直しておいてな。」
「だから別に悪くないですってば。」
何が楽しいのか。
マルコさんはニコニコしながらお弁当を完食していた。
私はおにぎりの味がわからないくらい
ずっとモヤモヤが治まらない。
何に対してこんなに腹が立っているんだろう。
マルコさんへ手作り弁当を持ってきた彼女達に?
嘘ではあるけど恋人がいるのに、他の子からもらったお弁当を美味しそうに食べているマルコさんに?
きっとどっちもだ。
でも私は、本当は文句を言える立場ではないし
こんな…ヤキモチみたいな感情を持つこと自体間違ってるはずなのに。
なんだろう。
今のこの状況が、嫌で嫌で仕方ない。