第三章 〜彼の手とヤキモチ〜
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——数日後。
今日は朝から診療所の手伝いへ行く日。
マルコさんに手を握られたあの日から
私は恥ずかしさを引きずってしまい
マルコさんと目が合ったり
物の受け渡しで手が触れたり
そばにいるだけで緊張する日々を送っていた。
診療所に着くと、なんだか中が賑やかだった。
まだ診療時間でもないはずなのに。
不思議に思い、入口で立ち止まって様子を探ると
どうやら村の女の子たちが数人、遊びに来ているようだった。
「マルコさん、休日はないんですか?」
「たった一人の村医者だぞ?あるわけないだろよい。」
「たまには遊びに行きましょうよ。海連れ出してくださいよ。」
「私も島の外へ出てみたーい。」
「そんな暇はない。第一、船がないだろ。」
ここからだとよく見えないけど、マルコさん笑ってる。
何やら若い女の子たちに囲まれて楽しそうだ。
私はなぜか中に入ることができなくて
診療所から少し離れた。
何だろう。
仕事場なのだから、普通に入っていけばいいのに。
ただなんとなく、これ以上女の子たちに囲まれるマルコさんを見たくなかった。
「ほら、そろそろ診療の時間だ。帰れ帰れ。」
「はーい。」
「また来ますね〜。」
女の子たちが中から出てきた。
私は平静を装ってその子たちとすれ違うように入口へ向かうと
声をかけられてしまった。
「もしかして、あなたがミドリさん?」
「あのマルコさんの彼女?」
「あの…そうですけど。」
本当は彼女じゃないです。ごめんなさい。
心の中でそっと呟いた。
女の子は3人いた。
どの子もきっと私と同年代くらいで
でも私より綺麗でスタイルの良い子達だった。
そのうちのひとりに顔を覗き込まれる。
「ぜ〜んぜん大したことない。」
顔のことだろう。
おっしゃる通りです。ほんとに。
「有名な元海賊ってだけで魅力的なのに今はお医者様。おまけにあの見た目。ちょっと歳は上だけど、村の子たち皆狙ってたんだからね。」
「ほんと。どうやってたぶらかしたのかは知らないけど、私たちにだってまだチャンスはあるんだから。いい気にならないでね。」
見下すように、言いたいことだけを言うと
3人は去っていった。
何も言い返せなかった。