第三章 〜彼の手とヤキモチ〜
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心臓の音が妙にうるさく感じる。
全ての意識が左手に向けられて
マルコさんの大きくて硬くて熱い
骨張った″男の人の手″
こんなふうに触れるのは初めてで
握られるままに動かせなくなった。
握り返すべき?
恋人同士なら、指を絡めるの?
私の手、きっと汗ばんでる。
恥ずかしさのあまり、足先に視線を落とす。
「そんな硬くならないでくれよい。俺まで緊張しちまう。」
「だって…こういうの、初めてで。どうしたらいいのか…」
「俺だってよくわからねェが。まぁこうしてるだけでいいんだよい。握手みたいなもんだ。」
「ただの握手でこんなにドキドキします?」
「ドキドキしてんのか。」
「いや、あの…えっと……」
やばい。
つい、口が滑ってしまった。
これじゃ私がマルコさんを意識しているみたいな言い方だ。
いやドキドキしてるのは本当なんだけど…
薄暗い中でよくは見えないけど
マルコさんがニヤリと笑った気がした。
私の手を離すと、そのままその手はポンポンと頭を撫でる。
「悪かったな。少し出過ぎた真似だったか。」
「いえ……」
離された手は急に冷えを感じ
撫でられた頭は心地良かった。
その後、家まで送ってくれたマルコさんと別れ
シャワーを浴びて布団に入る。
隣でおばあちゃんがぐっすりと眠っていた。
まだ左手にマルコさんの手の感覚が
はっきりと残ってる。
思い出すだけで胸がギュッとなった。
私、マルコさんのことを″男の人″として意識してる?
こんなに胸がドキドキするのは初めての経験だ。
ただ単に、男の人に慣れていないからなのか。
それとも、相手がマルコさんだからなのか。
結局答えは出せずに
そのまま無理矢理眠るように目を閉じた。