第三章 〜彼の手とヤキモチ〜
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「よし。ばあちゃんとこ行くか。」
「はい。」
最近は午後の往診の最後にうちに来て
おばあちゃんの診察をした後
3人で一緒に夕食を取ることもあった。
「なんだか家族が増えたみたいで楽しいわね。」
「俺もうまい食事にありつけて助かってるよい。」
「素敵な人が見つかって、よかったわねミドリ。」
「あ、うん!本当、私には勿体ないよ。」
うまく答えられただろうか。
なんだか罪悪感でおばあちゃんの目を見られない……
ーーーーーー
「ばあちゃん、ちょっとミドリちゃん借りてくよい。」
「え?」
「あらあら夜のデート?いいわね。行ってらっしゃい。私は先に寝てるわね。」
夕食後、いつもなら片付けを終える頃にはマルコさんは診療所へ帰るのに、今日は私を外へ連れ出した。
やってきたのは、村が見渡せるあの丘の上。
この前来た時よりも時間が遅いせいか
辺りは暗く、ところどころ外灯が点いている程度だった。
空を見上げれば
半月形の月の周りで無数の星が輝いている。
「綺麗ですね。」
「あぁ。こうしてると本当にデートしてるみたいだな。」
「そうですね……あの、やっぱり私挙動不審でしたか?」
「いや、ばあちゃんも特に気付いてなかったし、あんな調子でいいんじゃねェか?」
「よかった。」
てっきり、また「もっとうまくやれ」と言われると思っていたから安心して胸を撫で下ろす。
でも、じゃあなぜマルコさんは私を連れ出したんだろう。
不思議に思って隣にいるマルコさんを見上げると
同時に右手に暖かい感覚。
マルコさんの大きな左手に握られていた。
「小さい手だな。」
「あ、あの、マルコさん?これは…」
「まずは手を繋ぐところから、と思ってな。」
「……何がですか?」
「恋人の練習。」
含み笑いをするマルコさんの隣で
私は緊張で体が動かなくなる。