第三章 〜彼の手とヤキモチ〜
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それは嘘からはじまる 第三章
〜彼の手とヤキモチ〜
「ミドリちゃんのおばあちゃんに聞いたわ。まだ結婚はしてないんだってね。」
「早く夫婦になればいいのに。」
「マルコちゃんの結婚なら村の皆でお祝いするわ。」
「それはありがとよい。まぁそのうちな。」
診療所では、患者のおじいちゃん、おばあちゃん達に結婚を急かされる毎日。
さらに
「あー!ラブラブだ!」
「本当だ!マルコとミドリ姉ちゃん、ラブラブだー!」
「えっちー!」
「2人ともえっちー!」
2人で往診のために村へ出れば
通りすがりの子どもたちにからかわれる。
「大人をからかわないで!」
「羨ましいだろい。」
注意する私をよそに
子どもたちに向かって呑気に手を振るマルコさんに気が抜ける。
マルコさんは楽しそうに笑いながら
うまくかわしているけれど
私は迷惑をかけてしまっていることに
だんだんと申し訳ない気持ちになってきた。
「すみません、マルコさん。なんだか変なことになっちゃって。」
「俺は楽しんでるから気にするなよい。んなことより、ミドリちゃんももう少しうまく対応してくれ。」
「……ですよね。」
「村の皆の前ではともかく、ばあちゃんの前でいつまでも他人行儀なのはなァ…いつかバレちまう。」
「ごめんなさい……恥ずかしいんですけど、今までお付き合いなんてしたことないから、どんなふうに接すれば良いのか全然わからなくて……」
「なら俺で練習すればいい。」
「練習?」
「いつか本当の恋人ができたときのな。」
マルコさんはニッと笑った。
いつか本当の恋人が……
私はなぜか胸の奥がズキンと痛んだ。