第二章 〜交換条件と嘘のはじまり〜
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マルコさんを見送りに、庭先まで一緒に出た。
「こんなオッサン相手でも意外と信じてもらえたな。」
「言ったでしょ?マルコさんはおばあちゃんのお気に入りだって。でも、すみません。私ちゃんと言えなくて。フォローしてもらっちゃって。」
「ヒヤヒヤしたよい。面白かったけどな。」
マルコさんは楽しそうに笑っていた。
最近一緒にいる時間が増えて
本当にこの人は元海賊で賞金首なのか、と
にわかに信じられなくなる時がある。
今みたいに
とても穏やかで、優しくて、暖かい空気を
いつもまとっているから。
「まぁばあちゃんを喜ばせてやれて、良かったな。」
「はい。でも…悪いことをしているようで、ちょっと心苦しいですけどね。」
「…安易に人を傷付ける嘘は良くないが、誰かのための嘘は時には必要だと俺は思う。」
マルコさんの大きな手が
今度は私の頭に乗せられ
ポンポンと2回、撫でるように優しく叩かれた。
「お前は優しい子だよい。」
面と向かって優しい瞳で見つめられて
不思議と涙が出そうになる。
「……ありがとうございます。」
「おう。じゃあまた。」
軽く手を上げるマルコさんに手を振り返す。
彼の背中を見つめながら
数分前に手をかけられた左肩が
なんだかまだ熱を帯びている気がして
私はそこに手を重ねた。
私とマルコさんの
恋人同士を演じる毎日が始まった。
〜第三章へ続く〜