第二章 〜交換条件と嘘のはじまり〜
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「調子良さそうだな、ばあちゃん。」
「ありがとう。マルコちゃんのおかげよ。」
おばあちゃんの診察を終えて、マルコさんが器具を片付け始めたので、私は意を決してマルコさんの隣に座り、おばあちゃんの方を向く。
「あのね、おばあちゃん。」
「ミドリ。どうしたの?」
「実は、私…っていうか、私たち…えっと……」
いざ、おばあちゃんに嘘を吐く、となると
なんだか変な緊張でうまく言葉が出てこない。
膝に置いた手が汗ばんできた。
「何よ、改まっちゃって。どうしたの?」
と、横から大きな手が伸びてきて
私の肩に置かれた。
「報告があってな。ばあちゃん、俺たち付き合ってんだ。」
私がなかなか言えないでいた言葉を
マルコさんがサラッと言ってのけた。
「あら、そうなの!」
「うん…実は、そうなの。」
「まぁまぁ!ミドリに恋人だなんて!」
おばあちゃんは顔の前で手を合わせて喜んだ。
私は、肩に置かれたマルコさんの掌から
全身に熱が伝わるように体が熱くなった。
「最近診療所を手伝うようになったのは、そういうわけだったのね。」
「そうなんだ。ミドリちゃんに来てもらうようになって、俺も助かってるよい。」
「こちらこそ。この子を気に入ってもらえて嬉しいわ。ふつつかな娘だけど、これからもよろしくね。」
おばあちゃんが深々と頭を下げると
それに合わせるようにマルコさんも頭を下げる。
私はそれを、なんだか結婚の挨拶みたい、と
他人事のように眺めていた。
「じゃあ、仕事が残ってるから俺はこれで。ミドリちゃんはもうこのまま今日は終わりで良いよい。」
「はい、ありがとうございます。」
「お似合いね〜。」
おばあちゃんは最後まで私とマルコさんを交互に見てニヤニヤしていた。