第七章
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「ねぇキッド。」
「あ?」
閉めたままのドアに手を添える。
「私、悩んでるの。島に……帰りたくない。」
「………。」
今度はキッドが喋らなくなった。
「キッドの……そばにいたいの。」
私はずるい女かな。
「ねぇ、どうしたらいい?」
面と向かって言う勇気がないからって
ドア越しにこんなこと言うなんて。
「キッドが……すきなの。」
返事はない。
何言ってんだコイツ、と思われていることだろう。
怖くなってぎゅっと目を閉じた。
ガチャ——
勢いよくドアが開き、手を引かれ
目を開けると、キッドの腕の中だった。
抱き締められてる。
力強い腕と、鍛えられた胸板を直に感じた。
「お前は本当にバカな女だ。」
耳元で言われて
悪口なのに、なぜか素直になれた。
「大好きなの……」
その大きな背中に手を回す。
「離れたくない。」
言ってしまった。私の気持ち。
「足手まといでしかない私なんか、キッドのそばにいられないってわかってるし、彼を裏切ることもしちゃいけないってわかってる。」
キッドは何も言わない。
ただ、私を抱き締める腕の力は少しずつ強くなっていく。
「だけど、この気持ちはどうしようもないんだよ。」
ポロッと涙がこぼれた。
堪えていたものが粒になって
次々と溢れ出る。
顔を離して、キッドを見上げる。
今までに見たことのないような
切なく、そして困ったような顔のキッドが
私を見つめていた。
「ねぇ、キッド。私どうしたらっ——」
急にキッドの顔が近付いて、キスをされた。
言葉を唇で遮られるのは二回目だ。
でも、一回目のときとは違う
深く、荒々しく、噛み付くような口付け。
でも、とても優しかった。
「んっ……」
何度も何度も
ついばむように重なる口付けに
苦しくなって息を吸おうとすれば
その隙間からキッドの舌が侵入してきた。
ぬるりとした感触に
身体の中心が熱を帯びていく。
片手で頭をしっかりと抑えられて
もう片方の手は腰を強く抱き寄せられた。
私は口内で暴れまわるキッドのそれに
ついていくことに必死で
頭は何も考えられなくなった。
「……ん……ふっ……」
部屋の中、2人の荒い息づかいが響く。
夢中でささやき合った。
全てを忘れられそうで
叶うなら永遠にそうしていたいと思った。
その太い首に腕を回せば
キッドが私を抱き上げたので、体が浮く。
それでも止まらないキッドからのキスに身を預けて
そのまま2人重なり
ベッドへと沈んでいった。