第一章
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船から少し西へ歩いたところで
女が一人、砂浜で倒れていた。
服は濡れ、身体中に砂を付け
うつ伏せになって気を失っていた。
少し離れたところで、救命ボートがしぼんでいる。
その様子から、ボートが壊れ、この島に流されて
たどり着いた遭難者だと考えられる。
キッドが顔を覗き込む。
「お。割といい女じゃねェか。」
キラーは呼吸を確認する。
「生きてるな。俺が運ぶ。背中に乗せてくれ。」
「俺に指図するな。」
キッドは文句を言いながらも女を抱き抱えると
キラーの背中に背負わせた。
「…そこのカバン、この子の物かもな。持っていこう。」
「おう。今夜はこいつで発散できる。だいぶ溜まってるからな。」
キラーの背中の女を見ながらキッドは顔をニヤつかせる。
「遭難者を前に不謹慎だぞ。」
「海賊に不謹慎も何もあるかよ。」
「まずは船医に診せる。その後のことはこの子が目を覚ましてからだ。」
「海賊が人助けかよ。よっぽど暇だな、俺たち。」
「確かにな。」
ーーーーーー
「所々軽い怪我をしているが、すり傷だし、問題ない。気を失っているだけです。空腹だろうから目を覚ましたら何か食べさせてやりましょう。」
船医が医療室を出ていくとキラーも後に続く。
その様子にキッドは焦った。
「待て!俺がみてるのかよ!」
「当たり前だろ。お前が拾ったんだ。」
キッドは舌打ちをしながらも
船医の椅子にドカッと座る。
「食事を用意させておく。起きたら声かけろよ。」
「だから俺に指図するんじゃねェ。」
キラーは部屋を出て行った。
キッドは改めて女を見る。
整った顔立ちに少し幼さも残る。
自分より少し年下だろう。
まさか目の前で眠っているこの女に
自分が今後振り回されることになろうとは
この時のキッドは思いもしなかった。