第三章
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「クソ。まとめて来やがったか。」
20人はいる敵に囲まれる。
他の仲間達はそれぞれ戦っていて助太刀は期待できない。
キッドがどれだけ強いのかわからないけど
こんなに大人数をひとりで相手にできるわけない。
「キッド……」
それでも私は、キッドに頼る他なかった。
情けない。
壁に手をつきながら、なんとか立ち上がる。
と、キッドは私を庇うようにして背を向けた。
「問題ねェよ。そこにいろ。」
敵に向かって右腕を上げる。
「な!なんだ!?」
「武器がっ!」
すると敵が持っていた銃や剣が宙を舞い、引き寄せられるように全てがキッドの腕に張り付いた。
「こいつ、能力者か!」
その武器によって出来た大きな腕で
次々と集まった敵をなぎ倒していく。
一瞬の出来事に
私には何が起きているのかさっぱりわからなかった。
「……あんた何なの?能力者ってどういうこと?」
「俺は悪魔の実を食ったんだ。」
「悪魔の実?」
よくわからないけど、あんな大人数をモノともしないほどこいつが強いのはわかった。
気付けば血を流して倒れているのは敵だけで
仲間たちはほとんど怪我もなく立っていた。
「こっちも片付いたな。」
敵船へ乗り込んでいたキラー達が戻ってくる。
「大したことなかったな。つまらねェ。宝はあったか?」
「宝も、食料もたんまりだ。」
「文句なしだな。」
キラー達の手にはたくさんの戦利品が抱えられていた。
「大丈夫だったか?ミドリ。」
「うん。少しびっくりしたけどね。」
「こいつ腰抜かして立てなくなってやんの。」
キラーに強がってみせたのに
キッドが私を指で指しながら笑った。
「仕方ないじゃない!海賊同士の戦いなんて初めてだったんだからっ!」
「涙目になってよ。傑作だったな。」
「あまりいじめるなキッド。ミドリは海賊じゃないんだ。」
「ありがとキラー。それにしても皆すごく強かったのね。私もう今日死ぬと思ったよ。」
「大袈裟だな。」
「その俺たちがうちまで送ってやるってんだ。もっと感謝しろ。」
「そうだね……食料も手に入れてくれたし、せめて少しでも役に立てるように、美味しいお昼ご飯作るね。」
私はまだ少しふらつく足でキッチンへと向かった。