〜第一章〜
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「お疲れ様でした!お先に失礼します!」
白衣を脱ぎ、身なりを整えて
私は食堂へ急いだ。
でも、食堂にコビーの姿はなかった。
今日海から帰ってきたばかりだし、忙しいんだろう。
もしかしたら来られないかもしれない。
拍子抜けして立ち尽くしていると
後ろから声がする。
「お待たせしました。報告書がなかなか終わらなくて。」
振り返ると、走ってきたようで、手を膝につき、肩で息をしているコビーの姿がそこにあった。
「私も、今来たところです。」
「そうか、ならよかった…。」
体勢を戻したコビーに、真っ先に思ったことは
背が高い。
さっきは少し距離があったから気付かなかったけど
2年前は私より少し高いくらいだったのに
今では完全に見下ろされている。
でも…
ピンク色の髪に、優しい瞳。
トレードマークだったメガネは額につけているけど
コビーだ。
ずっと会いたかった人。
私は泣きそうになるのを必死に堪える。
じっと見つめる私の視線に
コビーは居心地が悪そうに目を逸らした。
「あの、夕食済ませましたか?」
「あ、まだです。」
「今日は金曜だからカレーの日ですよ。僕取ってくるので、座っていてください。」
「はい。ありがとうございます。」
言われるがままに空いている席を探して座ったけれど
よく考えたら私が取りに行くべきだったかな。
コビーはここでは偉い人なのに。
でも、前のように一緒に食事ができるなんて
なんだか夢のよう。
「お待たせしました。」
「すみません、ありがとうございます。」
料理をテーブルに置いて、右隣にコビーは座った。
なんだか右肩がくすぐったい。
「…そういえば、なんだか急だったし、久しぶりすぎて敬語に戻っちゃってたね。」
「ほんと、私もコビーにつられて。」
2人、顔を見合わせて笑う。
変わらない笑顔にほっとする。
「ミドリが元気そうで、安心した。」
「コビーも。立派になったね。私最初わからなかったよ。」
「成長期が過ぎるってよく言われるよ。」
照れながら、頭を掻く癖も変わってない。